東松戸まちづくり用地の活用 ACAヘルスケアに決定(千葉県松戸市)

[2018/1/12 千葉版]
 千葉県松戸市公共施設再編課は11日、「東松戸まちづくり用地活用事業」のプロポーザルによる民間事業者の公募で、ACAヘルスケア(東京都千代田区)を代表企業とするグループを最優秀提案者に決めた。構成員は大和ハウス工業と大和ライフネクストが務める。従前に取得されていた市有地に民間の活力を利用して図書館をはじめとする公共施設とともに、任意の民間施設を含めた複合施設を建設しようとするもので、公共施設の取得費の上限額として9億6380万円(税別)を設定していた。

 今回のプロポーザルでは、同グループのみから最終的な提案があったといい、29年12月25日には公開プレゼンテーションも開催。同グループは内容審査と価格審査を合わせて500点満点中377点を獲得した。

 提案された内容は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とカフェの民間建築を誘致するという公民合築の建築形態とし、多世代・地域交流を促す「コミュニティと学びの交流拠点」を整備するものだったとしている。事業ではACAヘルスケアが開発管理とアセットマネジメント、大和ハウス工業が設計・建設・工事監理、大和ライフネクストが維持管理を担当する。

 建設場所は、JRおよび北総鉄道東松戸駅に至近な東松戸2-14-1、-4~9(旧紙敷土地区画整理65街区)の2875.68平方mの敷地。市は民間事業者自らの資金調達と企画・運営で施設を建設、維持管理してもらい、市は施設内に配置する公共施設の取得費と維持管理費を支払う一方、事業者から土地の取得費と市税を受け取る。

 公共施設として整備するものとして市は、基準面積1100平方mの図書館と、同650平方mの行政サービススペース、同200平方mのこども夢ステーション(仮称)を計画。このほかエントランスホールを含む共用部と、駐車場(公共用10台+提案)、駐輪場(同30台+提案)、外構などとし、民間施設は提案によるとしていた。

 審査結果と併せて公表された講評をみると、設計・建設については不整形な計画地であるものの、図書館を1階のワンフロアに配置し、同館を核とする一体的な施設利用が図られるとともに、西側道路に面した側を低層階として戸建住宅にも配慮。公共施設内の動線も明確に整理されているとした。外観もガラス面の多用と開放的な屋外テラスにより人の動きが可視化されているとともに、基礎の打設や鉄骨の建方、スラブ打設の配置計画もおおむね妥当だったと評価された。

 このほか、市内の雇用創出や市内事業者への配慮が見られること、大規模修繕など公民の建物用途に応じた修繕計画が比較的容易なこと、環境負荷の低減につながる施策が盛り込まれていること、職員とスタッフ間の交流を目指すスタッフラウンジの任意提案があったことなどが評価された一方、駅からの利用動線の改善や駐車場の確保については市と詳細に協議してほしいとした。

 市では地域の将来像を見据えた、東松戸地域のまちづくりへの貢献に寄与する土地活用とともに、市の財政状況を踏まえ、民間事業者の持つアイデアやノウハウを積極的に活用した、いわゆる公民連携型の事業手法による成果を期待したいとしている。

 事業に当たって市ではこれまでに、事業の推進支援業務(コンストラクション・マネジメント(CM)業務)を日本不動産研究所(千葉支所・千葉市中央区)に委託するなどしていた。

 市は千駄堀への新病院建設を決めて以降、今回の東松戸について文化や芸術、生涯学習、まちづくり、ボランティアや市民活動といった横断的な活動や交流のネットワークの活性化を促し、多様な人々がそれぞれの活動を通して時間を共有するゆるやかなつながり生む空間または場として、地域社会の魅力を高める「コミュニティと学びの交流拠点」の整備を目指すことを基本理念としていた。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.