多賀城に金属材の工場 大和ハウスが設計・施工 3Dプリンタで新素材開発(日本積層造形)
[2017/12/28 宮城版]
新工場は、同市八幡字一本柳地区の「さんみらい多賀城・復興団地」内に建てる。敷地面積は5005平方m。建物はS造2階建てラーメン構造で、延べ1389平方mの規模。完成後は日本積層造形の本社機能も工場内に移す。
同社は、双日とコイワイが共同出資し、10月に設立した株式会社。事業内容は▽金属積層技術(AM技術)用金属粉の製造・販売▽金属AMで製造した製品の販売▽金属積層3Dプリンタによる試作品の製造・分析・評価──など。
27日には県庁で新工場の立地協定締結式が開かれ、同社の保田社長や小岩井豊己取締役副社長、村井嘉浩知事、菊地健次郎多賀城市長が出席。3者が協定書に署名し、握手を交わした。村井知事は新工場について、「東北大学金属材料研究所との技術開発面での連携や、新技術の金属3Dプリンタの活用により、従来のモノづくりではできなかった製品の創出が可能となり、すでに多くの企業が高い期待を寄せている」と紹介。同社の進出は「本県モノづくり産業が新たな飛躍のステージへと進んでいる現れ」と力を込めた。
さらに村井知事は、宮城に優秀な理科系のよい学校があるものの、卒業生の行き場があまりないため、同社のような「素晴らしい企業をたくさん立地させることで、理科系の優秀な人材の流出を防ぎたい」と語った。
保田社長は、金属積層分野の面で日本が海外に比べて遅れていることを明かし、その理由に「装置メーカーは装置開発、粉体メーカーは金属粉末の開発、造形は造形会社と分断されている」ことを挙げた。その上で、同社が各機能を新工場に集約し「日本を世界ナンバーワンに持っていく」と意気込んだ。
保田社長によると、金属は鋳造や機械加工が従来の工法で、チタンアルミといった素材は使用できなかった。今回は粉からデータに基づいて一層ずつ溶かして固めていくため、溶射できるものはどんな材料でも使えるようになる。チタンアルミは、飛行機のエンジンのタービンブレードに活用されており、従来のニッケル系の材料に比べ、重量が半分、強度が10倍になっているという。
ほかにも3Dプリンタに適した新材料を開発し、例えば人体のインプラントとして活用されているチタンやコバルトクロムに代わる、より人体に害がなく体内で長期間使える素材などを生み出していく考えだ。