成田空港周辺地域づくりで骨子案 31年度に実施プラン(四者協議会)
[2017/12/26 千葉版]
国と県、成田国際空港周辺の9市町、成田国際空港株式会社(NAA)で組織する「四者協議会」(事務局・県総合企画部空港地域振興課)が策定した、成田空港周辺の地域づくりに関する基本プランの骨子案が25日、明らかになった。空港周辺9市町に個別に説明して提示、意見を照会している。今後は関係機関と同プランについて議論を深め、年度内の策定を目指して作業を進めていくとした。インフラ整備のほか、産業振興や生活環境向上を図る地域づくりのための基本方針が示されている。
骨子案のうち、インフラ整備についてみると、圏央道の大栄・横芝間や北千葉道路など高規格幹線道路の整備を進めるほか、空港へのアクセス強化や地域振興を図るため、国道296号や県道成田小見川鹿島港線など空港周辺道路の整備により、ネットワークの整備効果を周辺地域に波及させる。
加えて、空港敷地の拡大に伴う付け替え道路については、機能強化の効果の取り込みを周辺の利便性向上も考慮した上で整備していく。
河川についてもまた、空港拡張区域における流出対策として、流出量の抑制を図るほか、栗山川の河川改修に引き続き取り組むとともに、高谷川など栗山川水系の流域での今後の開発状況の変化に応じて必要な対応を図るとした。
農業関連では、地域の営農ビジョンに基づき、担い手への農地集積の加速化や農業生産性の向上などのため、安定的な農業用水の確保、水田の大区画化、畑利用が可能となるほ場整備を推進するとし、特に成田用水については、空港建設に伴い周辺地域の農業振興を図る目的で設置されたため、今後予定する事業についても、補助率のかさ上げを定めた成田財特法を活用するなどし、財源確保に努めるとしている。
このプランは30年度から、空港の発着回数が年間50万回となる見込みのおおむね44年度までを期間とし、産業振興面では地場産業や中小企業、企業誘致、観光、農業を振興させ、生活環境面では交通利便性の向上や教育・子育て環境の整備、地域防災力の向上を図る。
成田空港のさらなる機能強化に伴う地域づくりについては今年6月、県とNAA、国が連携・協力し、空港周辺9市町(成田市、富里市、山武市、香取市、多古町、芝山町、横芝光町、栄町、神崎町)の意見や要望を確認しながら、機能強化に伴う地域振興策の方向性や、内容をとりまとめたプランを作成するため検討を始めることが四者で確認されていた。
機能強化については、空港発着容量が現在の年30万回から50万回に拡大されると、旅客数は年間約5000万人から7500万人に、貨物取扱量は年間約235万tから約300万tにそれぞれ増加し、空港従業者数も約4万人から約7万人に増えるとされている。
併せて空港周辺の道路ネットワークが整備されることで、アクアラインと一体となった成田・羽田の両空港、空港と首都圏を結ぶ新たなルートが形成されるなど、空港周辺地域のポテンシャルが飛躍的に向上することが期待できるとした。
機能強化の効果を地域の全域にくまなく波及させていくため、今回「基本プラン」を策定した上で、30年度には地域振興策を実施するに当たっての課題の解決方策(空港周辺に関する特区制度の活用)を調査・検討。31年度にも具体的な施策をまとめた「実施プラン」(仮称)を策定し、32年度からは四者が協力し、地域活性化策を実施していき、さらに着手可能な施策については32年度を待たずに順次着手していくとした。