銚子に高度衛生型市場 農林水産業振興へ計画案(千葉県農林水産部)
[2017/12/20 千葉版]
千葉県農林水産部は、30年度から33年度までの4カ年を期間とする「県農林水産業振興計画」の案をまとめた。今年10~11月に原案についてパブリックコメントを実施していたもので、今月28日も決定する見通し。目標として農業産出額を全国第2位の4500億円、県内漁港水揚額を全国第3位の560億円、第6次産業による販売額を830億円にそれぞれすることを目標に掲げており、ハード面でも漁港への高度衛生管理型の市場の漁港との一体整備などを掲げている。
同計画案では、農林水産業の成長力の強化を図るため、生産地盤の強化・充実を図る。農業では目標として、水田のほ場整備率を現状(28年度)の56.4%から33年度までに57.1%に引き上げるとした。
具体的には、33年度までに450haの水田でほ場整備を実施するとし、農振農用地(水田)7万0011haのうち、3万9961haのほ場の大区画化や、畑としての利用が可能となる整備を進める。
併せて、県営の基幹水利施設の機能診断と保全計画の策定割合について、現状の25%から38%とすることを目標とした。県営の水利施設677施設のうち、日常点検で更新または補修が必要な県営施設275施設について、104施設の機能診断と保全計画の策定を進めるとした。
さらに堤高15m以上かつ貯水量10万t以上と規模が大きく、人家があるなど下流への影響が大きいと想定される「防災重点ため池」では、耐震・豪雨調査とハザードマップ作成の実施割合を現況の0%から100%とする。防災重点ため池は県内の11カ所で指定されている。
具体的な取り組みとして、ほ場の区画整理や排水改良を実施し、生産コストの低減が図れる大区画化とともに、収益性の高い畑作物の導入を図る「汎用化」に向けた基盤整備を推進するとともに、担い手への農地集積や集約化を促進。また、農地中間管理機構と連携して、担い手が必要とする基盤整備を実施し、利用集積を目指す。
漁港施設については、銚子漁港など地元漁船だけでなく、県外船にも利用され、その利用が全国的である「流通拠点漁港」で、鳥などの侵入を防ぐ施設のほか、洗浄機器や海水処理(滅菌・冷水)などの施設を備え、入場時の消毒や荷捌きに使う資機材が衛生的に管理されている「高度衛生管理型」の産地市場を漁港と一体的に整備するとともに、漁船の大型化に対応するため、銚子漁港で浚渫や岸壁の整備など機能強化を図る。加えて漁港の荷揚げ能力の強化・改善を目的に、銚子漁港と勝山漁港について港内静穏度の向上を図るとした。
農山漁村のインフラ長寿命化に向けてもまた、地域の農業への影響が大きい受益100㏊以上の基幹的な農業水利施設のうち、日常管理の状況や施設の重要度から整備が必要な施設について、詳細な機能診断に基づく老朽化の状況を把握した上で、計画的に補修や更新を進めるための保全計画を策定。これを基にした計画的な対策工事に取り組む。
このほか、安定的に畑に水を供給するための畑地かんがい施設の整備を推進。県管理の治山施設や林道施設も安全管理や維持管理・更新に向けたトータルコストの縮減・平準化のため施設ごとに長寿命化計画を策定。漁港施設も老朽化で更新が必要な施設が増加していることから、保全計画に基づいた長寿命化を進めていくとした。
同計画案ではまた、成田市の公設地方卸売市場の輸出拠点化に向けた移転再整備が、計画通り進むよう支援するなどとしている。