公園の長寿命化計画を見直し 維持管理に10カ年で97億円(千葉県土整備部)
[2017/12/22 千葉版]
県土整備部公園緑地課は、24年度に策定した公園施設の長寿命化計画を見直した。5カ年が経過したことを受け、国の指針に基づいて、新たに29~38年度を期間とする計画としたもので、12カ所の県立公園を対象に、園路の更新をはじめとする予防保全的な維持管理を図るとした。計画期間中の事業費について県では約97億円を見込んでいる。
現在は県土整備部が所管している県立の都市公園は、昭和40年の羽衣公園(千葉市中央区市場町)を皮切りに整備され、今年4月時点で14公園・467.5haが開設されている。
一方で、完成から30年以上が経過した公園施設の割合は約60%で、今後10カ年で約87%に達し、老朽化がさらに進むとした。
今回の計画の見直しではこのうち▽羽衣公園▽青葉の森公園▽幕張海浜公園▽行田公園▽柏の葉公園▽手賀沼自然ふれあい緑道▽印旛沼公園▽北総花の丘公園▽蓮沼海浜公園▽長生の森公園▽館山運動公園▽富津公園──を対象とする。
これらの公園について県は予備調査を実施。施設の管理に当たって「予防保全型管理」と「事後保全型管理」に類型化した。このうち事後保全型管理は、ベンチや水飲み場、園路舗装といった比較的小規模な構築物に適用し、日常点検や定期点検で劣化や損傷の進行に応じて撤去または更新を判断していく。
一方でトイレや管理事務所などの建築物、遊具、橋梁などの構造物は予防保全型で管理する。これらに分類された施設については、健全度調査と判定を実施。公園施設の劣化や損傷具合を把握して、施設の修繕や改築などに対する緊急度を判定する。健全度はA~Dの4段階とし、全体的に劣化が顕著で、重大な事故につながるおそれがある健全度Dのものについては、緊急度を高く設定した。
これらの判定結果を踏まえて、施設ごとに長寿命化を施す時期や内容を設定。予防保全型と事後保全型のそれぞれに要するコストや、使用を見込む期間を使って単年度当たりのライフサイクルコスト(LCC)を算出、さらに比較して、施設ごとの管理類型を定めた。
LCCについては、長寿命化計画を進めていくことで使用見込み期間が延長され、同期間内での単年度当たりの費用が縮減されるとし、県では対策を行わない場合と比べて、10カ年で12億円余の維持管理費が削減できるとしている。
国が24年4月に策定した「公園施設長寿命化計画策定指針」では、公園施設は5年に1度以上、定期的に公園施設の劣化や損傷の状況を目視などで確認することを求めており、県でもこれに基づいて既存の計画を見直し、計画的な維持管理に努め、公園施設の安全性や信頼性を確保するとしている。