ICT活用に助け舟 30年度 復興係数の継続決定(復興加速化会議)

[2017/12/19 宮城版]

村井知事(右)の横で復興係数の継続を表明する石井国交相

村井知事(右)の横で復興係数の継続を表明する石井国交相

 国土交通省や東北被災3県、仙台市、東北建設業協会連合会らは16日、東北地方整備局内で第8回復興加速化会議を開いた。石井啓一国交相が出席し、復興係数による間接工事費の補正を30年度も継続適用することを表明。東北整備局の新たな取り組みとして、中小企業のICT活用工事を発注者がサポートするチャレンジ型の試行や、ICT「活用証明書」の発行・評価、設計業務へのCIMの導入、ウィークリースタンスの推進などを打ち出した。

 会議には、国交省や復興庁など国の機関と、宮城、岩手、福島、仙台の各自治体、建設業関連の7団体が参加。各機関が復旧・復興の取り組み状況を説明するとともに、東北整備局が新規に「東北復興働き方・人づくり改革プロジェクト」と「震災を風化させないプロジェクト」を打ち出した。

 働き方・人づくり改革プロジェクトは▽ICT活用工事の普及推進やCIM導入による生産性向上▽業務改善▽人づくり支援▽ワーク・ライフ・バランス(WLB)の改善支援──などで構成。

 ICT活用は、新たにチャレンジ型を導入し、中小企業で初めてICT活用に挑戦する場合、必要に応じてノウハウを持った専門家を現場に付けさせ、その分の経費を手当てする。専門家は発注者が紹介する。

 実際に工事でICTを全面活用した企業に対しては、技術者に「活用証明書」を発行し、次回の総合評価で加点する。ICT活用ではこのほか、本年度から順次、自治体を含めた発注予定・実績の「見える化」や、発注者指定型と受注者希望I型の拡大などに取り組む。

 3次元モデルとその情報データを駆使するCIM活用は、30年度以降に全ての予備設計・詳細設計に受注者希望型で適用。特に重要構造物に限っては発注者指定型とする。CIM導入を総合評価で加点し、成績に反映する方式も採用。3次元測量に関しては、全ての現地測量業務を原則的に受注者指定型で発注する。

 業務改善では、提出書類の簡素化・簡略化に力を入れる。入札参加時に技術資料が1枚で済む簡易確認型は、段階選抜方式の全工事で導入する。30年9月までには、整備局が独自に設定する工事関係書類の簡素化や、国と自治体の工事書類様式の統一化を図る。

 人づくりでは、これまで40歳以下の若手技術者と、女性技術者の配置評価を工事によって片方に限っていたが、どちらも選べるようにする。この評価対象以外の工事は全て、既存の専任補助者制度を適用する。

 WLBの改善では、災害復旧工事等を除く全ての工事でウィークリースタンスを徹底。打ち合わせを勤務時間内に行うことや、休日の作業を見込むような仕事の依頼をしないといったことを仕様書等に記述し、受発注者間で共有する。

 震災を風化させないプロジェクトでは、震災遺構や追悼施設のマップ化、「震災ツアーモデルコース」の提案・商品化、震災メモリアル施設や案内板の整備などを進める。

 石井国交大臣は、人づくり革命に向け「中小企業を始めとした復興に携わる企業が生産性向上や働き方改革、教育訓練の機会確保に取り組めるように、地方自治体と連携して支援体制の充実など環境整備に取り組みたい」と意欲を示した。

受発注者が復興加速へ一致団結した

受発注者が復興加速へ一致団結した

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