電磁研が富谷に移転 仙台八木山の跡地4haは売却

[2017/12/14 宮城版]

握手を交わす若生市長(右)と荒井理事長

握手を交わす若生市長(右)と荒井理事長

 電磁材料研究所(電磁研、荒井賢一理事長)は、富谷市成田9丁目に全面移転し、来年1月1日から事業を再開する。現在の施設がある仙台市太白区八木山南2丁目の土地約4haは、不動産業者に売却する。5月に土地の売買契約を結んでおり、来年1月から既存施設の解体工事を進め、同7月30日に土地を引き渡す予定。跡地ではその後、開発事業が見込まれる。

 13日には富谷市役所で電磁研の立地表明式が開かれ、荒井理事長が移転の経緯や電磁研の事業内容、今後の取り組みなどを紹介した。移転先はYKKの研究所跡地で、既存の建物を継続利用する。敷地面積は約1・5ha。敷地内には別棟でクリーンルーム棟を建設し、11月30日に竣工した。

 移転の理由は、八木山の研究施設が老朽化した上に、東日本大震災による被害を受けたため。将来の発展性や周辺環境、既存施設の有無などを検討した結果、東北自動車道の富谷JCTから近距離にある富谷市成田への移転を決めた。

 電磁研は昭和19年、東北帝国大学金属材料研究所内に文部省所管の「財団法人航空計器材料試作研究所」として発足。戦後は「財団法人電気磁器材料研究所」に改名。23年7月に内閣府から公益財団法人としての認定を受け、名称を「公益財団法人電磁材料研究所」に改めた。

 創立以来一貫して電気と磁気に関する機能材料の研究開発を進めている。平成6年からは薄膜デバイスの研究を開始。研究・開発成果は、時計内部のひげぜんまい、人工衛星搭載の観測用磁器センサー、ヒューマノイドロボットの関節部分を動かすセンサー、リハビリ用の靴底センサーなどに活用されている。

 新しい研究所では、情報、健康、福祉、環境などの分野で技術開発に貢献するため、電気・電子機器の超小型化・高性能化を追求する。富谷市とも協力し、地元企業との情報交換や共同研究、試作開発研究、青少年を対象とした科学技術の普及活動に努める考えだ。

 立地表明式で若生裕俊富谷市長は、電磁研を「長年にわたり歴史を積み重ねてきた素晴らしい研究機関」と評し、「今後の富谷市の発展に大きな力になる」と喜びを口にした。今後は市と電磁研がともに発展できるよう全面的に協力・連携する意向も示した。

 なお、電磁研が所有する仙台市太白区八木山南2丁目1-1の土地は、7階建て延べ9716平方mの研究棟や素形材開発施設が建っており、鹿島建設の施工で来月から解体撤去工事や土壌改良を進め、更地にした上で不動産業者に引き渡す。

富谷市に確保した電磁研の研究棟

富谷市に確保した電磁研の研究棟

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