2事業が「継続妥当」 富津漁港では下洲で用地造成など(千葉県水産公共事業評価審)
[2017/11/29 千葉版]
29年度第1回となる「県水産公共事業評価審議会」(会長・山下東子大東文化大学経済学部教授)が28日、千葉市中央区の県教育会館で開かれ、前回の再評価から5年、または事業完了後からおおむね5年が経過した県営事業について、それぞれ再評価または事後評価が行われた。今回は計3事業の内容や進ちょく状況などが県農林水産部の担当部局から説明があるなどし、再評価の対象だった事業はいずれも継続が妥当とされた。富津漁港では30年度も約2・3haの野積場用地の造成を進める。
今回審議の対象となった事業は、再評価が「水産流通基盤整備事業(片貝地区)」(九十九里町)と、「水産流通基盤整備事業(富津地区)」(富津市)の2事業。一方の事後評価では「広域漁港整備事業」(鴨川市)の1事業となった。
活発な議論をお願いしたいとする県農林水産部の杉野宏次長のあいさつに続き、始まった審議ではまず、再評価の対象となった片貝漁港の水産流通基盤整備事業について概要を説明。平成14年度から事業着手しているもので、期間は34年度までを予定し、事業費は当初50億円としていたが、見直しがあり現在は59億6000万円を見込んでいる。
これまでの事業費は43億6000万円で、29年度末の進ちょく率は73・2%となる見込み。作田川河口に位置することから流下土砂と、九十九里浜からの沿岸漂砂の影響による航路と泊地の埋塞防止対策による安全性向上と漁業活動の効率化、施設の老朽化対策による漁業者の就労環境改善が目的だ。
これまでに航路や泊地の浚渫などの一部が完了。30年度以降は南防砂堤の566mへの延伸や、北側の防砂堤延長450mの改修、マイナス4.0m岸壁延長100mの新設、航路サンドポケットの浚渫、道路3区間(延長137m、281m、286m)の整備など、残された計画事業を順次進めていく見込みだ。
富津漁港の水産流通基盤整備事業は、平成14年度の着手。34年度までの計画期間で、事業費には37億5600万円を見込み、これまでに26億4300万円が投じられ、29年度末の進ちょく率は70.4%となる見通し。富津岬を中心に北側の富津地区と南側の下洲地区の2カ所で進められており、このうち富津地区については航路・泊地の浚渫と660mの道路新設、物揚場の補修など事業が完了している。
残る下洲地区では、延長60mの沖防波堤の新設や、防波堤273mの新設のうち残り64mの整備、延長170mの船揚場や同86mのマイナス1.5m物揚場の新設、2万3300平方mの野積場および加工施設用地の造成を進めている。
同事業は、漂砂の影響による航路や泊地の埋塞から漁船の安全を守るとともに、漁港施設の不足を解消し、就労環境改善と漁業活動の効率化、作業性の向上を図ることが狙い。
事業完了からおおむね5年が経過したことに伴う事後評価の対象となった鴨川地区の広域漁港整備事業は、平成14~23年度に総事業費13億1100万円で進められたもの。延長82mの前原防波堤をはじめとする防波堤や波除堤の改修・新設や護岸の改良、岸壁の改良、泊地の浚渫などが実施され、その後の調査で安全な漁業活動や多様な生態系の形成、フィッシャリーナの利用者を通じた漁村と都市の交流が図れたとし、適切な維持管理が図られた上で、地域経済への寄与など想定した事業効果の発現が認められたことが報告されるなどした。