震災遺構の設計プロポ 旧門脇小学校と大川小学校(石巻市)

[2017/11/21 宮城版]
 石巻市は、震災遺構の保存整備に向けた調査・基本設計等業務について、旧門脇小学校と大川小学校旧校舎の2件に分け、公募型プロポーザルで委託する。17日付でプロポの手続を公告しており、28日に現地見学・説明会を開いた後、12月18日まで参加申込書、30年1月26日まで技術提案書を受け付ける。プレゼンテーションや審査を経て同2月下旬に優先交渉権者を決定する。

 震災遺構の共通コンセプトは「わたしたちの記憶を紡ぐ 未来のいのちへつなぐ 母なる海とともに」。2校とも大震災の巨大津波で被災したため、既存施設を残して公開することで、後世に津波の恐ろしさや避難の大切さなどを伝承していく。

 旧門脇小は、門脇町4丁目-2-11に本校舎や特別教室棟、体育館などが残されている。遺構化に向けては、火災被害も受けた本校舎3階までの一部を保存するほか、特別教室棟や体育館を改修し、地域の交流スペースなどに活用する。予定工事費は8億5000万円。

 本校舎はRC造3階建て延べ約3689平方mの規模で、うち遺構面積が1998平方m。特別教室棟はRC造延べ1308平方mの規模で、震災・防災学習や資料保管の機能を持たせる。校庭は花畑や駐車場などを整備する。学校の敷地面積は約1.3ha。

 調査・基本設計業務は、建築や電気設備、機械設備の基本・実施設計をまとめるとともに、境界測量や用地平面図の作成、校庭再整備と展示工事の基本設計などを実施する。業務規模(見積り限度額)は税込8300万円。履行期間は30年3月末までだが、延長する可能性がある。

 大川小の旧校舎は、2階建て延べ2748平方mの規模で、釜谷山根1に建っている。旧校舎には基本的に手を付けず、現状のまま保存する。周辺は植栽や休憩施設を設け公園化する。学校から県道を挟んだ向かい側にはバス3台と普通車30台の駐車場や、木造延べ約300平方m程度の管理棟を整備する。敷地面積は約3.2ha。予定工事費は4億5000万円。

 調査・基本設計等業務は、公園の地質調査や設計と、管理棟の新築設計、それらに伴う展示工事の基本設計や排水計画の作成などを行う。業務規模は税込5500万円。履行期間は30年3月末までだが、延長する可能性がある。

 プロポの参加資格は、2件とも市の「測量・建設コンサルタント等の業務」のうち、業種が「建設コンサルタント」または「建築士」に登録されている単体企業か設計JVで、一級建築士事務所の登録があることや、19年4月1日以降に竣工した展示室が1000平方m以上の博物館等について展示設計の請負実績があることなど。

 震災遺構の工事時期は、旧門脇小が31年4月~32年3月、大川小旧校舎が31年4月~32年3月を予定している。

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