関係機関との連携強化 千建協らと震災対応訓練(千葉県土整備部)
[2017/11/7 千葉版]
千葉県土整備部は6日、県建設業協会をはじめとする建設産業関係団体らとともに、29年度の震災訓練を実施した。訓練では、県庁中庁舎4階の同部会議室に設けた震災対策会議事務局で、現地から被害状況に関する情報を収集し、同部長室前に設けた防災対策会議に状況を報告。並行して、各土木事務所では緊急輸送路で道路破損などによる全面通行止めを想定した迂回路の設定や、車両移動用ジャッキを用いた放置車両の移動訓練を実施。また、道の駅駐車場でレッカー車などを用いた道路啓開訓練を実施し、交通機能の確保までの流れをシミュレーションした。突発的な災害に対応できるよう関係機関との連携強化を図ることも狙いだ。
この訓練は、災害時における県土整備部の防災活動の円滑な実施を図るため、また、県内の建設関連団体との業務提携に基づく協力体制の一層の充実を図ることを目的に、同部震災対策組織や他機関、関係団体などと毎年9月1日の「防災の日」に合わせて実施しているが、今回は台風の接近でこの日に順延となっていた。
29年度は建設産業界の関係団体から▽県建設業協会(と各支部)▽県電業協会▽県造園緑化協会▽県測量設計業協会▽県地質調査業協会▽県建設コンサルタント業協会▽関東地質調査業協会千葉県支部▽建設コンサルタンツ協会関東支部▽日本橋梁建設協会▽千葉曳舟協会▽日本埋立浚渫協会▽県レッカー事業協同組合──が参加した。
当日の訓練では、午前7時30分に房総半島東方沖を震源とするマグニチュード8.2の地震が発生し、太平洋側沿岸部では5mを超える津波が発生、各地域で震度6強の揺れを観測した場合を想定した。
当日は▽初動職員の参集訓練▽県土整備部震災対策会議等設置訓練(県土整備部震災対策会議、県土整備部震災対策会議事務局、現地震災対策班)▽指令発令及び報告訓練▽情報収集・情報伝達訓練(被害状況収集、他機関からの情報収集、衛星通信車による映像受信)▽個別訓練(道路啓開訓練など)──などを実施した。
8時30分には「県土整備部震災対策会議・事務局」が設置され、「指揮班」「庶務班」「情報班」「復旧班」「渉外班」「特務班」で組織し、初動職員が各班に振り分けられ、電話やFAX、PCなどの設営が行われた。
10時からの震災対策会議では、議長を務める吉田行伸災害・建設業担当部長が、9月1日から順延となったものの、訓練前日の11月5日が「津波防災の日」に制定されていることに触れ、訓練について「時宜を得た」と説明した上で、震災対応訓練には、2つの目的があることを説明。
吉田議長は1つ目として「大規模地震が本県で発生した際に適切な初動対応をとれるように訓練すること。政府の調査委員会が発表した全国の地震動予測値図によると、今後30年間で震度6弱以上の地震が起きる確立は県と千葉市で85%と、都道府県庁所在地で全国1位となっており、大規模地震は本県でいつ起きてもおかしくない状況とだ」と注意を促した。
また「2つ目は、災害から県民を守るにあたり、日頃から連携を密にしている関係機関と、突然の大規模災害に対応できる体制強化を図ること。国土交通省、官民一体で災害に強い県土づくりを推進し、災害時にはいち早く現場に駆けつけて復旧作業をしている建設業協会などと共同で訓練を実施する」と訓練の目的を強調した。
加えて吉田議長は「初期対応として行うべきものとして、被害状況調査や道路啓開による輸送路の確保などがある。国交省からの支援として災害対策用の機械の派遣があり、今回は千葉国道事務所から衛星通信車を配備していただいている」と説明。
「また、新たな試みとして、一昨年に策定した“千葉県版くしの歯作戦”を踏まえた道路啓開訓練を実施する。津波被災地へ最短で向かう道路啓開候補路線となっている国道128号に近い道の駅で、放置車両の移動と合わせて、倒壊した照明灯の撤去を建設業協会の館山支部や電業協会などと共同で、シミュレーションする」とし、訓練が地震災害に対する備えを強化し、被害の軽減に役立つことを祈念するとした。
なお、訓練には建設業関連団体のほか、15土木事務所、3港湾事務所、北千葉道路建設事務所、2ダム管理事務所、3下水道事務所、3区画整理事務所の同部の27出先機関と県道路公社、国土交通省千葉国道事務所、東日本高速道路(NEXCO東日本)関東支社、千葉市、NPO防災千葉などが参加している。