千葉県土整備部と意見交換 地域建設業の基盤強化を(千建協)
[2017/10/28 千葉版]
千葉県建設業協会(畔蒜毅会長)は27日、県土整備部との意見交換会を、千葉市中央区のホテルポートプラザちばで開催した。地域建設業の経営基盤強化などを目指すため当日は、公共事業予算の増額とその安定的・継続的確保、改正品確法の順守徹底、担い手確保と人材育成などを県に対して提案。さらに提出書類の簡素化や道路使用許可といった支部など現場単位の課題なども取り上げるなどした。県もこれらに回答するとともに、コンクリート強度の問題などに対応する場面も見られるなど、互いに腹蔵のない有意義な協議の場となった。
当日は吉田行伸災害・建設業担当部長をはじめ、県土整備部の各課長や各出先事務所長ら37人が出席。協会からは正副会長や各支部長のほか、専務・指名理事、土木技術委員長など24人が出席し、互いの意見を述べ合った。
冒頭のあいさつで畔蒜会長は、自然災害が多発する中、同協会として県土を守るのに必要な社会資本整備と併せ、清掃活動などのボランティアや水防訓練などに取り組み、地域建設業の果たす役割や使命を周知する活動を進めながら「災害対応空白地帯」を発生させないことが肝要だとした。
畔蒜会長はさらに「地方経済活性化に公共事業は不可欠」との考えから、大型補正予算に加え、来年度当初でも今年度を上回る事業予算計上を要望していく意向を示しながら「各地域に密着した建設業者が今後も存続していくため、受注機会確保や現場での具体的な課題の解消に向けた提案を用意した」とし、率直な見解を伺いたいと訴えた。
県土整備部からも吉田担当部長があいさつ。台風が相次いで接近していることに触れ、災害への対応に協力を求めるとともに、今年3月に発生した鳥インフルエンザへの防疫対応を「地元企業だからできたことと再認識した」とし、加えて先に同協会が独自に実施した国土交通省や財務省への要望活動に対し「県としても力強い後方支援を得た思いだ」とあらためて協会の活動に対して感謝の言葉を述べた。
吉田担当部長は老朽化するインフラ施設の整備や、津波などに対する県土の強靭化を図っていくため「地域の守り手」である建設業者が、将来にわたって健全で持続的に発展できるよう、県として必要な施策を進めていく考えを示した。
意見交換ではまず、県からの情報提供として、建設現場での快適トイレの普及制度やICT活用工事要領、中間前金払制度、入札参加資格申請などについて説明があった。
意見交換では協会側が、地域間格差や企業間格差が生じているのは、地域建設業向けの工事量が少ないことが主因だと指摘。改正品確法にもうたわれている受注者の適正な利潤確保と、地域建設業の経営基盤の強化が図られることが必要不可欠だとあらためて指摘するなどした。
担い手確保の課題に向けては、発注時期の平準化に加え、技能労働者の働き方や賃金体系を考慮した完全週休二日制のあり方の検討し、工事の発注に反映させてほしいという意見や、若手職員の地元企業への派遣・常駐制度の検討を求める提案もあった。
このほか意見交換では、施工に当たってのオーバースペック分の設計変更契約を求める声や、全ての任意仮設を指定仮設としてほしいとの要望、道路上の動物の死体の取り扱いを災害対応と同様に県下で統一した発注方法とすることを求める意見が上がるなどした。
フリーの討議でも、実際に作業員が減少している状態で、数年後の実施を目指しているとされる建設業での完全週休二日制を導入した場合に想定される課題が問われるなどし、これらにも国の対応を見るなどの回答が行われるなどした。
会の最後には、県側を代表して柴田利雄次長が会を総括。繰り返し訴えられているものから新しいものまで「幅広い意見交換ができた」とした上で、現場と担当者との間で初めて聞く話もあったとしながら、提案について「対応できるものは可能な限り対応していきたい」と県の姿勢を述べ、協会と力を合わせて「働き方改革」の実現に向けて一つ一つでも進めていきたいと内容の濃い会をまとめていた。