新庁舎 1・2階の活用イメージ 通常時・災害時双方に機能(千葉市)
[2017/10/19 千葉版]
新庁舎整備を進めている千葉市財政局管財課庁舎整備室は、先に開かれた市議会の「新庁舎整備調査特別委員会」(森茂樹委員長)で、基本設計を進める中で策定された新庁舎1・2階の活用イメージを示した。今年2月に開かれた「第2回新庁舎整備シンポジウム」をきっかけに、本庁舎周辺の企業や団体と市の意見をもとに、通常時と非常時に各企業らが持つ活用イメージや、市が実施可能なイベントや展示などの案が示されている。
先のシンポジウムでは、基本設計を手がける久米設計・隈研吾建築都市設計JVの代表のほか、周辺の企業・団体の代表者らが出席。この中で隈氏は、新庁舎が複合機能の連合体となり、情報発信機能を併せ持つ海の開放感を感じる空間を1・2階に取り入れ、通常時と発災時が継ぎ目なしになるよう可変性に富んだ庁舎をテーマにしたいとしていた。
一般市民も利用する機会が高いとされる1・2階のうち、1階には「情報ステーション」3カ所を配置。通常時のステーション[1]は市政情報提供コーナー(仮)、[2]は周辺企業・団体等連携情報提供コーナー(仮)、[3]はまるごと千葉市観光ステーション(仮)として活用を図る一方、災害時にはいずれもサイネージを活用した災害・復旧情報を提供する。
同じく1階に配するカフェは、通常時は軽食やドリンクの提供を行い、非常時には飲料水や食料の配布、また炊き出しカウンターとして機能させることをイメージ。カフェと総合案内を挟む形で配置するイベントスペースとまちかど広場は、地場産業を発信する展示会場としてのほか、周辺企業・団体との共同防災訓練の場の一つとしての活用も図る。
1階の正庁も市の各種会議やセミナー、企画展示会などで活用する一方、非常時には一時的な帰宅困難者の受け入れスペースとするとともに、支援物資の荷捌きや支援部隊の控え室として活用する。
その正庁直上の2階には、通常時は地場産レストラン(仮)となる食堂を配置し、非常時にボランティアなどへの飲料水や食料の提供の場とするとともに炊き出し場所としても機能。併せて直上に置く2XL会議室も、各種会議のほか、非常時には1階が使えない場合の正庁の代わりを果たす。
先の特別委員会では、1・2階の活用イメージのほか、新庁舎の整備コストやPFI可能性調査の概要についての説明もあった。新庁舎直接の建設工事費を約266億円、調査・設計や外構などその他工事費に約44億円の計約310億円になるとした。
コストの内訳をみると、建設工事費は杭・建設工事に約142億円、設備工事に約78億円、経費・地盤改良などに約46億円。一方の建設工事以外は基本設計費を含む約8億円、その他工事費に約23億円、移転関連費に約13億円を見込んでいる。
PFI可能性調査では、デザインビルド(DB)方式が直接施工と比べて最も費用縮減効果(VFM)が高いことのほか、国道側にある「将来活用検討地」の民間活用による庁舎整備に向けた資金調達について、これまでの民間企業へのヒアリングで有効な活用策が見込まれなかったため、費用算定シミュレーションで想定しなかったことも説明された。