名取川側帯に商業拠点 31年春開業へ設立総会 かわまちてらす閖上
[2017/10/7 宮城版]
株式会社かわまちてらす閖上(櫻井広行代表取締役)の設立総会が5日夜、名取市文化会館で開かれた。株主は閖上地区で被災した商店主や名取市など。閖上の名取川堤防沿いに商業施設「かわまちてらす閖上」を整備するほか、まちづくり会社として地区の賑わいと活力を創出する。出店事業者を10月末まで募集中。31年春のオープンを目指す。
株式会社は、閖上地区の商工業を復興させ、持続的な地域の振興・活性化の実現を目指すため、地元事業者など8人が発起人となり9月1日に設立。同社では閖上地区に設けられる施設の所有・経営・売買・賃貸借などに関する事業のほか、将来的には地場産品の加工販売、地区の観光サービス、まちづくりに関する調査・研究なども実施する計画だ。
総会で櫻井社長は会社について「設立の目的は被災事業者が安心して商売ができる場所をつくり、地元に戻る住民にいいサービスを提供すること」と話し「川沿いがデートコースとなり、週末近郊から人が集まる店づくりをしていきたい」と意欲を示した。
来賓の山田市長は閖上の復興を「31年度までにハード面の整備を終了したい。産業振興や交流人口拡大も大切になるので、ぜひ引っ張っていってほしい」と期待を示した。
「かわまちてらす閖上」は、河川側帯を使った全国でもまれな取り組み。施設整備に国の補助金を活用する。整備地は閖上1丁目で、ロケーションの良い側帯上部に飲食店、下部に物販・サービス店舗を配置。約30店が入居する。敷地面積は約4500平方mで、施設規模はS造平屋約1800平方mとなる。フードコートや広場なども設ける。
施設は株式会社が一括で整備し、各出店店舗と賃貸契約を結ぶ。津波立地補助金などを活用するため、施工者は一般競争入札などで選定する見通し。基本設計はアジア航測と都市企画工房が担当している。
商業施設整備のケジュールは、10月末まで出店事業者を募り、年内に名取市がまちなか再生計画を策定。年明けに補助金申請し、交付決定を受けて詳細設計に入る。着工は30年7月ごろを見込む。交付決定からあまり時間がないことから、設計と施工を一括で発注する可能性もある。準備期間を経て31年3月のオープンを目指す。
市は、商業施設の整備に合わせて側帯周辺に計100台程度の駐車場を整備する。またサイクルスポーツセンターの復旧やアクセス道路の整備など、地域内の回遊性も高めていく考え。