小中校躯体の健全性調査 個別施設計画を策定へ(千葉市)
[2017/9/26 千葉版]
千葉市教育委員会学校施設課は、長寿命化などを目的とした市立学校施設の構造躯体の健全性調査を計画している。市では約17校のうち26校を対象とした調査業務を、3分割して委託するため、希望型指名競争入札を公告した。調査の結果は、追って策定を計画している学校施設の個別施設計画の検討材料の一つとする考えで、入札は29日まで参加を受け付ける。
今回の入札で委託するのは「千葉市立本町小学校外7校構造躯体の健全性調査業務」「千葉市立更科小学校外7校構造躯体の健全性調査業務」「千葉市立こてはし台小学校外9校構造躯体の健全性調査業務」──。参加資格は入札参加者名簿の業種が建築関係建設コンサルタント業務で、耐震診断の登録があり、市内に本店があることなど。
業務では本町小学校(校舎1棟、RC造4階建て延べ1464平方m)や、更科小学校(校舎2棟、RC造4階・4階建て延べ1955平方m)などで、コンクリートの圧縮強度試験と中性化深さ試験を実施し、各施設の健全度を測定する。
この業務は、文部科学省が推進する公立学校施設の老朽化対策に伴うもの。同省では小中学校施設が第2次ベビーブーム時に建築され、25年以上経過した建物の面積が全体の約7割となるなど、老朽化が大きな課題となっており、部材の経年劣化は安全面や機能面での不具合を引き起こすとした。
加えて児童・生徒の安全確保のみならず、公立小中学校の約9割が地域の避難所となっており、地域の防災機能強化の観点からも早急に学校施設の老朽化対策に取り組む必要があるとしている。
国土交通省をはじめとする国の関係機関は25年11月に「インフラ長寿命化基本計画」を策定。これを受けてその行動計画として、28年度までに文科省と地方自治体が「公共施設等総合管理計画」を策定した。
さらに各教育委員会は、学校施設の個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)を32年度ごろまでに策定するよう求められており、公共施設の4割を占める学校施設の状況は、公共施設等総合管理計画でも重要な検討材料で、可能な限り速やかに検討に着手することが重要だとされた。
このため文科省は29年3月に「学校施設の長寿命化計画策定に係る解説書」を公表。計画の標準的な様式や、具体的な留意点などを説いている。
同書によると、計画の策定には建物情報の整理が必要だとし、これをステップ1~4の4段階に分類。ステップ1では、学校施設の全体把握として、建物の基本情報を一覧にし、築年別の整備状況をグラフ化するなどして現状での今後の維持・更新コストを概算する。
ステップ2では、今回の業務委託に当たる躯体の健全性を把握。今後の維持・更新コストの試算に当たり、長寿命化改修に適さない場合があるため、「改築」と区分する建物(要調査建物)を選別。躯体以外でも「劣化状況調査票」を作成し、5つの部位についてもA~Dの4段階で評価する。
ステップ3ではこれらをもとに長寿命化型の維持・更新コストを試算。最後のステップ4で直近の整備計画をまとめる。
千葉市では今回の対象以外の学校の健全性調査は未定としているが、データが必要な施設がある場合は追って調査を進める方針だ。