無電柱化へ基本構想 優先順位や整備手法を検討(千葉県浦安市)
[2017/9/7 千葉版]
千葉県浦安市道路整備課は、防災機能の強化や都市景観の向上などを目的に、可能な箇所での無電柱化に取り組む方針だ。29年度はその基本構想を策定する考えで、業務を20日に開札予定の一般競争入札で委託するため、7日まで参加を受け付けている(予定価格552万円、税抜き)。整備の優先順位や整備手法の検討などを実施し、候補路線を抽出するなどして30年3月23日を履行期限に成果をまとめる。
入札の参加資格は、資格者名簿登載者のうち、測量・コンサルタントの大分類を「土木関係建設コンサルタント業務」、中分類を「道路」とした登録者で、過去10年間に無電柱化の調査又または計画などの業務実績があることなどとしている。
無電柱化を図る事業は、安全かつ円滑な歩行者空間の確保や、災害時の避難路の確保、加えて景観の向上などを図るため、国が昭和61年度から取り組んでいるが、他方で多額のコストや住民調整などが必要な面もあり、全国的にもあまり進んでいない。
浦安市では平成15年度に「電線類地中化基本構想」を策定。数路線を対象に無電柱化を試みたものの事業化されず、さらにその後東日本大震災などもあり、同基本構想に基づく無電柱化は実現できなかったという。
同市では都市再生機構(UR)が近年開発した日の出・明海・高洲地区など一部のニュータウンなどで無電柱化がされているのみとなっており、今回の業務では全域となる市内の認定道路約230kmを対象に調査を進める。
業務ではまず、国による無電柱化(地中化)の変遷と新法の施行、埋設深さの緩和、低コスト化の取り組みなどその動向について整理。続けて同市での無電柱化の整備状況を整理するため、無電柱化に関わる市の緊急輸送路や景観計画といった各種計画や液状化対策などの関連事業を整理するとともに、先の電線類地中化基本構想を参考に、選定項目の該当の有無を路線ごとにまとめる。
また、無電柱化を済ませた区間の施工者や施工時期などを確認した上で、1万分の1程度の無電柱化整備図を作成するとともに、無電柱化率を算出。これらを踏まえて選定項目ごとに重要度を精査し、候補路線の選定や整備優先順位を決めるための整備方針を立案する。市では候補路線として5路線ほどの抽出を見込んでおり、実際には狭あいで歩道が未設置な道路でなく、液状化対策を済ませた幹線道路など比較的幅の広い道路での実施を見込んでいる。
業務ではさらに、候補路線の主要断面での設置可能性や、低コスト化を検討。計画から完成までの手続きなどの整備手順を整理した上で、概算事業費を算出するとともに、一般的な工法とも比較検討する。
国では28年4月の改正法施行により、直轄国道をはじめとする緊急輸送道路上に電柱の新設を原則認めないとする一方、電気事業者などに固定資産税の優遇措置を時限的に与えたり、埋設基準をこれまでより浅くすることなどで無電柱化を推進しようとしている。