野球場改修に債務24億円 外川漁港の突堤延長前倒し(千葉県)
[2017/9/5 千葉版]
千葉県の森田健作知事は4日に開いた会見で、14日に開会予定の県議会9月定例会に提出する補正予算案の概要を明らかにした。一般会計は既決額に89億7900万円を追加し、同会計の総額を1兆7351億4000万円とするもので、主なものでは耐震化と施設機能の充実を図るための県総合スポーツセンター野球場(千葉市稲毛区天台町285ほか)の事業について、限度額24億7400万円の債務負担行為を設定するのが目立つ。
今回の補正予算案の増額は、財政調整基金の積立金35億円、県有施設長寿命化等推進基金積立金21億円、消防救急無線整備事業償還金10億6050万円それぞれの計上によるものが大きい。県は骨格編成だった今年度当初予算の肉付けとなった6月補正予算の編成後の状況の変化を踏まえ、「くらし満足度日本一」の千葉を目指し、「子ども・子育て世代への支援」「くらしの安全・安心の確立」などのため、緊急的に取り組むべき事業費を計上したとしている。
これらについて県では、年度間の財源の調整を図り、健全な財政運営に資するため、28年度の決算剰余金の2分の1を財政調整基金に積み立てるとともに、今後の県有施設の更新などに備えて県有施設長寿命化等推進基金への積み立ても行うとしている。
県総合スポーツセンター野球場については、昭和43年6月の完成以降、高校野球をはじめ数多くの大会を開催してきたが、完成後約50年が経過し、施設の老朽化が顕著だとしている。また、耐震補強も必要な状況となっているため、抜本的に改修を実施し、県民がより安全・安心に利用できる施設として整備することとした。
既存施設の構造・規模は、スタンドがRC造2階建て延べ3574平方m、屋外便所がRC造平屋延べ(5棟)70平方m、スコアボードがS造3階建て延べ163平方mなど。これにS造2階建て延べ約15平方mの建築エレベーター棟の新築と、外野グラウンド両翼とセンターの拡張も実施する予定で、公認基準と適合させるためホームベースからの長さを両翼は92mから98mに、センターは120mから122mにそれぞれ延長する。
補強・改修予定の内容は▽野球場の内野スタンド耐震補強及び内外装改修▽観客席及びスタンド屋根改修▽障害者用の観客席の整備▽エレベーターの設置(エレベーター棟含む)▽盛土スタンド内の便所改修▽給排水衛生設備・空調設備・電気設備改修▽スコアボード改修及びナイター照明及び照明灯設置▽グラウンドの拡張及び改修(両翼、センター拡張等)──。設計については基本・実施ともに榎本建築設計事務所(千葉市中央区)が担当した。32年4月の供用開始を目指すとしている。
建設関連では、銚子市の外川漁港で突堤の延長を計画。漁港機能の高度化を図るのが目的で、前倒しで5400万円を増額する。また、河川維持事業では大雨などで崩落・倒壊した河川護岸の復旧工事を発注するため、香取市の小野川に1300万円、長南町の一宮川に3000万円、多古町の栗山川に4000万円の計8300万円を増額し、既決額と合わせて5億7800万円とする。
このほか街頭防犯カメラシステムの整備事業として、新規に限度額1億7700万円の債務負担行為を設定して確保。千葉駅、船橋駅、西船橋駅、松戸駅、柏駅の周辺5地区に各10台ずつの計50台を設置したい考えだ。
システム面ではこれに加え、110番通報に迅速かつ的確に対応するため、通報内容を警察署などに伝え、警察官を現場に急行させる通信指令システムを更新するため、限度額28億3100万円の債務負担行為を設定。債務負担行為ではまた、袖ケ浦福祉センター(袖ケ浦市蔵波3108-1)の管理運営事業として、30年度以降の指定管理者の指定に当たり、第三者検証委員会の意見などを踏まえて更生園と養育園に分けることとし、更生園には限度額25億3200万円、養育園には同9億3900万円の、30~34年度の5カ年を期間とする計34億7100万円の債務負担行為を設定する。指定管理者については県社会福祉事業団に決めたことも定例会で承認を求める予定だ。
今回の補正予算案により、県全体の投資的予算は、補助事業で公営住宅建設事業の工期の変更などで減額となる一方、単独事業では河川護岸の復旧工事などで約1億1100万円の増額となっている。