道路メンテナンス年報 橋梁、予防保全進まず(国交省)

[2017/8/31 千葉版]
 国土交通省は、全国全ての橋梁やトンネルなどについて、点検の実施状況やその結果、措置状況などをまとめた28年度分の「道路メンテナンス年報」を明らかにした。26年7月から全ての道路管理者が、橋梁やトンネルなどの5年に1度の近接目視を実施しており、3カ年目の点検実施状況が橋梁で54%、トンネル47%、道路附属物等57%と、着実に進む一方、予防保全段階となる「判定区分II」の橋梁について、事後保全型に比べ修繕などが進んでいないことも分かった。

 橋梁やトンネルなどは点検により、その健全性を「I」(健全)、「II」(機能的な支障はないが、予防保全の観点で措置を講じることが望ましい状態)、「III」(機能的な支障が生じる可能性があり、早期に措置するべき状態)、「IV」(機能的な支障が生じる、または生じる可能性が著しく高く、緊急に措置すべき状態)の4つに判定を区分する。

 このうち橋梁についてみると、国内の72万橋余のうち、28年度に点検を実施したのは約27%の19万3710橋で、さらに区分IVと判定された橋梁が396橋あった。このうち92橋が撤去・廃止済みまたは予定となっている。

 また、26、27年度に点検が実施された橋梁の修繕着手率は、判定区分IIIで約1~2割(26年度点検分17%、27年度点検分10%)、さらに判定区分IIの場合は26年度点検分3%、27年度点検分1%とほぼ進んでいない。

 本県についてみると、国や高速道路会社、地方公共団体が管理する橋梁は1万1906橋。このうち28年度に点検を実施したのは約31%の3705橋だった。

 これを判定区分別に見ると、区分Iが1462橋、区分IIが1842橋、区分IIIが398橋、区分IVが3橋という結果となった。

 28年度に区分IVとされたのは、いずれも市町村が管理する橋で▽尼谷橋(流山市)▽飯積橋(酒々井町)▽獺台1号橋(長生村)──。市道平方区画47号線に架かる橋長12mの尼谷橋は、木製主桁などに腐朽が見られ、車両の通行を制限。今後は未定とした。

 橋長12・4mの飯積橋は、主桁や支承に腐食が見られたため通行止めとし、今後修繕予定。主桁のひび割れのあった橋長4mの獺台1号橋は架け替え工事が行われた。

 国では、市町村に代わり点検・診断の発注を都道府県が実施する「地域一括発注」の呼びかけや、緊急で高度な技術力を要する可能性が高い橋梁では直轄診断を実施するなどしている。

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