下水道事業の企業会計化 千葉県で7団体が「検討未着手」(総務省ら)
[2017/8/25 千葉版]
総務省などがまとめた29年4月1日時点での下水道事業の公営企業会計化適用に向けた取り組み状況が明らかになり、千葉県では県や市町村、君津富津広域下水道組合の計56団体のうち、7団体が適用済みだった一方、「検討に未着手」の団体も7団体あることが分かった。総務省では27年度から31年度までの5年間を集中取組期間に位置付け、主に特別会計となっていることが多い下水道事業を、公営企業会計に移行することを求めている。
本県内56団体のうち、下水道事業(流域、公共、公共下水道事業には特定公共下水道事業と特定環境保全公共下水道事業を含む)を実施している団体は▽勝浦市▽鴨川市▽富津市▽南房総市▽匝瑳市▽いすみ市▽神崎町▽東庄町▽白子町▽大多喜町▽御宿町▽鋸南町──の12団体を除いた44団体。このうち▽千葉市▽佐倉市▽柏市▽流山市▽八千代市▽四街道市▽酒々井町──の7団体が下水道事業の公営企業会計化を済ませている。
また、検討中だとしたのが▽君津市▽九十九里町▽芝山町▽長生村──の4団体で、実際に取り組み中であるのが26団体あった一方▽山武市▽多古町▽横芝光町▽一宮町▽睦沢町▽長柄町▽長南町──の7団体が検討に未着手だとしている。
総務省では、地方公営企業法の財務規定などを適用していない公営企業のうち、特に下水道事業と簡易水道事業については重点事業に位置付け、都道府県と人口3万人以上の市区町村などについては、集中取組期間内に移行することが必要であるとしている。
これを踏まえ同省では27年度から公営企業会計適用の取組状況を調査。29年4月時点での公営全国的な企業会計適用の取組状況を見ると、人口3万人以上の地方公共団体のうち、公営企業会計を「適用済」または「適用に取組中」の団体の割合は、下水道事業で98.8%、簡易水道事業で92.6%となっており、前回の28年4月時点での取組状況と比較して、下水道事業で5.9ポイント、簡易水道事業で6.6ポイントそれぞれ上昇している。
加えて、人口3万人未満の地方公共団体のうち、公営企業会計を「適用済」または「適用に取組中」の団体の割合は、下水道事業で24.8%、簡易水道事業で42.0%となっており、28年4月時点での取組状況と比較して下水道事業で3.3ポイント、簡易水道事業で1.1ポイント上昇している。
下水道事業の公営企業会計への適用を推進する理由として同省では、人口減少やインフラの老朽化が大きな課題となる中、公営企業も高度経済成長期に集中整備された施設や設備の老朽化に伴う投資の増大、人口減少などに伴う料金収入の減少が見込まれるなど、経営環境は厳しさを増しており、中長期的な視点に立った計画的な経営基盤強化と財政運営向上に向け、自らの経営や資産などを正確に把握するため、公営企業化し徹底して効率化や経営健全化を図ることとしている。
併せて同省では、上下水道やガスといった事業の経営戦略の策定状況を公表しており、本県について見ると、29年3月末時点で158事業中策定済みが45事業。取り組み中が13事業で、未着手のうち策定時期を未定としたのは43事業となっている。
汚水処理人口が90%越え
国土交通省と農林水産省、環境省は、それぞれが所管する下水道や農業集落排水施設、浄化槽などによる汚水処理の普及状況を調査した結果、28年度末における全国の汚水処理人口普及率は90.4%となり、平成8年の調査開始以降初めて90%を超えたと発表した。一方でいまだに約1200万人が汚水処理施設を利用できない状況にあり、特に人口5万人未満の市町村の汚水処理人口普及率は78.3%にとどまっているとしている。
本県について見ると、汚水処理人口普及率は87.5%で、全国の都道府県で20位。県内市町村では浦安市が99.7%で1位、千葉市が98.6%で2位、酒々井町が98.2%で3位。一方でワースト1位は東庄町の39.6%となっている。