隈研吾事務所で選定 復興の橋のデザイン(南三陸町)

[2017/8/11 宮城版]
 本吉郡南三陸町は、志津川地区で港橋を架け替えるため、「平成29年度南三陸町復興の橋橋りょう選定詳細検討業務」を隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)に委託する。港橋は、津波被害を受けた同地区の八幡川に架かっており、復興まちづくりに合わせて架け替える。新橋は人道橋で「復興の橋」に位置付けており、27年度にコンペでデザインを募集し、2作品を優秀賞に選定。このうち1作品を採用するため、同業務を委託して年内に絞り込む考えだ。

 デザインコンペでは応募があった215作品の中から、森創太氏・蜷川結氏の2人と、堀越一希氏の提案した作品が優秀賞に選ばれた。当時は森氏らがnmstudio、堀越氏が東京理科大学大学院の所属になっていた。

 森氏らの作品は、志津川湾の海に向かって弧を描く橋のデザインで、三日月のような形状が特徴となっている。周囲一帯を見渡せる橋の中心には、多くの人が集まれるイベント空間を設ける。構造はスプラット付きPC箱桁で、基礎は支持くいを用いることにしている。コンペの審査では、この基礎と河川堤防との兼ね合いが問題視された。

 堀越氏のデザインは、むきだしの骨組みが津波に逆らって立ち続ける姿をイメージした。町内に到達した高さ15・9mの波を表現している。構造はワーレントラスの単純桁だが、RC造のフィーレンディールやPC造のアーチ構造も組み込む考え。斜材の位置などに課題が残されていた。

 町は28年度に、デザインを1作品に絞り込むため、概略設計検討業務を近代設計(東北支社・仙台市若林区)に委託した。その後、コンペの審査委員から指摘を受け、特殊な構造に踏み込んだ詳細な検討や、コストの削減などが必要になったため、改めて選定詳細検討業務を委託することにした。

 隈研吾建築都市設計事務所の隈研吾氏は、東京大学の教授で、コンペでは審査委員長を務めた。震災復興では志津川地区のグランドデザインを手掛けるなど、同町と深い関わりを持つ。

 「復興の橋」は架設場所がまだ定まっていない。今後は、水尻川から八幡川に至る区間の新しい国道45号が完成し、高野会館前の町道復旧が終われば、既存の港橋の撤去に手を付ける。その後、「復興の橋」の架設や、その前後の護岸工事を進めることになる。

 既存の港橋は、橋長約42m、幅員8mの車道橋で、構造が3径間プレテンI桁橋。

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