業務もすべて総合評価 10月に入札制度改正 基準価格の算定法見直し(県)
[2017/8/10 宮城版]
本年度1回目の県公共工事等入札・契約適正化委員会(委員長:玉山直美弁護士)が9日、県庁内で開かれた。昨年末から2度にわたって業務案件の入札談合情報が寄せられたことを受け、県がこれまでの対応状況を説明した。県は入札の公平性・透明性などの確保に向け、33年度から全ての業務案件を総合評価による一般競争入札で委託する方針案を示した。10月からは調査基準価格の算定方式を見直すなど、新入札制度を施行する。
公共工事等入札・契約適正化委員会で県は、県北部地区を中心とする業務の入札で、昨年12月28日とことし3月6日に談合情報が寄せられたことを報告した。県は公正入札調査委員会を設置して参加業者から事情聴取したものの、調査結果から談合があったとは認められないと判断した。談合が疑われた業務の中には、調査基準価格と同額で落札されたものが数件あった。
県はこれらを踏まえ、発注案件の品質確保を加味した上で、業務案件の委託は全て、総合評価による一般競争入札に移行する考えを説明した。28年度は委託した1366件のうち、一般競争で委託したのは125件(9.2%)。さらに総合評価の適用は、46件(3.4%)にとどまる。
県は10月から新入札制度を適用し、段階的に総合評価に移行する。10月時点ではまず、業務案件の総合評価に簡易型(実績重視型)を追加する。企業評価と技術者評価のみを評価項目とする方式。現行では標準型と簡易型(実施方針型)が適用されている。
30年4月からは第2段階の改正として、業務案件の評価項目に優良業務表彰の実績を加えるなど、価格以外の評価を拡大する。価格評価点も改正し、ダンピング防止を図る。最終的には33年度から、業務案件は総合評価の一般競争入札で委託する。
また、調査基準価格の算定方式を見直し、10月から施行する。国土交通省が4月から施行している算定方法に準じて引き上げるもの。測量業務の諸経費と建設コンサルタント業務の一般管理費の係数を、48%(3ポイント増)に改正する。これにより、県の標準的なモデル例では、設計額に対する調査基準価格は79%(1ポイント増)となる。
同様に工事案件では、労務費の係数を100%(5ポイント増)とし、調査基準価格の割合を90%(1ポイント増)とする。
このほか、各地の社会資本を適正に維持管理する方策として、入札参加登録に「地域維持型建設共同企業体」の制度を導入する。道路管理などを、地域に精通した企業同士で結成するJVに発注するもの。10月から入札参加登録を始め、30年4月からモデル工事を実施する。