「地域守るため」4テーマ 関東地整と意見交換会(千建協)
[2017/8/5 千葉版]
県建設業協会(畔蒜毅会長)と、国土交通省関東地方整備局(泊宏局長)に本県県土整備部、千葉市土木部も参加しての意見交換会が4日、千葉市中央区のオークラ千葉ホテルで開かれた。協会側から三役や各支部長らを中心に約25人、官側も整備局からの22人を含む30人余が出席する中、前倒し発注や補正予算編成にとどまらず、地域建設業の受注機会確保や施工時期の平準化などの具体的な要望と、これに対する回答で活発な意見が交わされた。
会の冒頭、あいさつに立った泊局長は、全国的に集中豪雨など災害が相次ぐ中、復旧現場を見ると地域建設業者が力を発揮しているのが分かるとし、いつどこで発生するか分からない災害に対しその存在は不可欠だとの考えを示し「安定した経営ができる環境を整えるのは大変重要」だとし、同局として担い手の確保や生産性向上への取り組みを続けているものの、まだまだ改善は必要だとし、有意義な意見交換になればと抱負を述べた。
続けて県土整備部の野田勝部長もあいさつ。あらためて今年3月の鳥インフルエンザ発生時の防疫活動に当たっての同協会の防疫活動に感謝の言葉を述べるなどしながら、県土強靭化を進めるとともに「県民の安全・安心を守るため、地域の守り手である建設業の健全な発展は重要」だとし、県としても改正品確法に定められた発注者責任を果たすための取り組みを進めていくとした。
これらを受けて畔蒜会長は、現下の集中豪雨の復旧作業に、各地域の「仲間」が懸命に当たっているなど「地域建設業者に与えられた“国土と住民の安全を守る”という役割は、日々大きくなっていることを感じている」とした上で、災害対応空白地帯を生み出さず、地域の守り手としての活動を続けられるよう、予算の増額確保や施工時期の平準化など4つをテーマとして取り上げたことを説明、受発注者双方の意志疎通が図られる機会になることに期待を込めた。
議事ではまず、関東地方整備局側から情報提供があり、29年度の入札・契約、総合評価の実施方針や、建設産業行政の最近の動きについて説明。続けて県建設業協会側からその活動状況について報告があり、鳥インフルエンザへの対応を含む災害時の活動や産業構造改善事業の推進、若年労働者の入職・定着に向けた取り組みなどが紹介された。
この後、昨年度の意見要望に対して関東地方整備局が対応状況について報告。「地域密着工事型」、「技術提案チャレンジ型」の導入など地元受注に向けた取り組みが説明されたのに続き、意見交換では▽社会資本整備に必要な公共事業予算の増額、安定的かつ継続的な確保▽29年度予算の前倒し発注と、その後の大型補正予算の編成▽地域建設業の受注機会の確保▽施工時期の平準化や週休2日制の検討──の4テーマで要望が投げかけられた。
このうち施工時期の平準化に向けては、30年度までに平準化率(4~6月の稼働件数を年間の稼働件数で割ったもの)の目標を0・9に定めたこと、また週休2日制については工期延長を見越して間接工事費を補正することや、30年度から総合評価の加点対象とすることなどが説明された。
フリー討議では、管内各県との意見交換の結果を受けて地域サポートプランの改定を図る旨が示された上で、書類の簡素化に向けた取り組みを具体的に求める声や、ICT活用工事の継続的な発注を要望する意見が出るなどしていた。
この意見交換会は、業界と国・地方が一体となり、県内建設事業者の受注機会の確保や入札・契約手続きおよび入札での地域要件や総合評価方式などのあり方、現場管理や工種・工程の各段階での問題など、受発注者双方が抱える諸問題の改善に向けて意見交換することを狙いに、例年関東地方整備局が管内各都県を巡回しながら開催している。