CLT協議会に委託 林業センター本館設計 貴重な研修機会を創出(県)
[2017/7/7 宮城版]
県は林業技術総合センター(黒川郡大衡村大衡)の本館改築に関し、設計業務を県CLT等普及推進協議会(斎藤司会長)に委託する方針だ。同センター本館はCLT(直交集成板)を使った本県初の公共施設となる見込み。まだ建築事例の少ないCLT建築物の設計を同協議会にゆだねることで、加盟する技術者らのスキル向上、ノウハウの蓄積を図るのが狙い。現在、県は委託の仕方などを検討している。県は30年度末までに設計を固め、31年度から改築工事に着手する意向だ。
県CLT等普及推進協議会の本年度の事業計画では、CLTを活用したシンボリックな木造施設の設計に取り組み、協議会に所属する技術者らのレベルアップを図ることにしている。
県は当初、第2四半期に「林業技術総合センター本館新築設計業務」を一般競争入札によって発注することにしていた。しかし、CLTを活用した建築物の設計事例は少ない。貴重な技術習得の機会を同協議会に与えることで、加盟する技術者らが技術を研鑽(けんさん)し、情報を共有することができる。その観点から、同協議会に基本設計・実施設計をゆだねることにした。
現在、どのような形で設計業務を委託するか、農林水産部と土木部が協議している。通常の業務委託ではなく、県と同協議会が連携しながら設計業務を進めるような手法を検討している。
既存の林業技術総合センター本館は昭和46年1月に建設されたもので、老朽化が進んでいる。県は現本館を解体後、跡地に木造2階建て延べ1235平方mの新本館を建設する考え。躯体や内外壁などにCLTを使う。設計の段階で、RC造やS造との組み合わせなども検討し、最終的な構造を決める。
県は秋ごろまでに設計業務を同協議会に委託する考え。29、30年度で基本設計・実施設計をまとめる。29年度には地質調査も行う。その後、現本館の解体に着手。新本館の着工は31年度を予定している。供用は32年度になる見込み。
同協議会には建設業や設計業、林業、ハウスメーカー、木材メーカーをはじめ、大学や自治体も加盟している。非住宅分野でのCLT普及・活用を推進するため、研修や先進事例の視察などを重ねている。
構成員の東北大学は先月、工学部敷地内でCLTのモデル施設を着工した。木造平屋のセミナールームを建設するもので、同協議会にとっては設計施工方法を研修する格好の題材となっている。また、本県初のCLT建築物を多賀城市内に建設したナイス(神奈川県横浜市)や、7日にCLTを使った仙台支店社屋の竣工式を開くセルコホーム(仙台市青葉区)も、施工に関する情報を同協議会に提供している。