総合災害医療C 梓で基本設計 救急・精神科を一体的整備(千葉県病院局)
[2017/6/27 千葉版]
千葉県病院局経営管理課病院建設室は26日、県総合救急災害医療センター(仮称)の建築工事基本設計業務について委託者の選定を進めてきた公募型プロポーザルで、梓設計(東京都品川区)を最優秀提案者として選定したことを明らかにした。今後は7月初旬を目途に、契約を締結する方針。29年度で基本設計、30年度で実施設計を完了させ、31~33年度で新病院を建設する予定だ。
同業務は、28年度に策定した県救急医療センター・精神科医療センターの一体的整備に係る基本計画を踏まえ、県救急医療センターと県精神科医療センターの一体的整備により、新病院として県総合救急災害医療センター(仮称)を建設し、併せて県精神保健福祉センターを合築する基本設計。
県救急医療センターと県精神科医療センターの一体的整備には、29年度予算に1億8500万円を計上。内訳は、基本設計委託料が8000万円、地質調査や測量などの委託料が8700万円。これらのほか、(仮称)千葉県総合救急災害医療センター基本運営計画策定に係る業務委託についてが1800万円。
このうち、県総合救急災害医療センター基本運営計画策定に係る業務については、企画提案を募集したところ、病院システム(東京都豊島区)1者からのみ応募があり、選定委員会を開催して厳正な審査を行った結果、最優秀提案者に同社を決定している。
基本設計業務のプロポーザルでは、2者からあった技術提案について、外部の学識経験者を含む選定委員会で厳正な審査を行い、最優秀提案者として梓設計を、また、最優秀提案者に次いで優位とされた提案者の内藤建築事務所(京都市左京区)を次点として選定した。
県救急医療センター(千葉市美浜区磯辺3-32-1)は、昭和55年に竣工。当時の設計は田中・西野設計、施工は奥村組らが担当した。敷地内には本館(RC造2階一部3~4階建て延べ1万1172平方m)、看護師宿舎(RC造5階建て延べ2911平方m)、医師住宅(10戸・延べ864平方m)が設置してあるほか、ヘリポート(324平方m)もある。
県精神科医療センター(千葉市美浜区豊砂5)は昭和60年に、日本初の精神科救急医療として開院。設計は相和技術研究所、施工を高沢工務店などが担当。本館の規模はRC造2階建て延べ3798平方m。
両センターそれぞれ、重症患者に対する救命救急処置や精神障害者に対する迅速、適格な精神科医療を提供しているが、施設の老朽化、狭隘化といった課題を抱えている。また、県精神保健福祉センターは、地域住民の精神的健康の維持増進等を図るため、昭和46年に開設され、施設は40年以上が経過している。
県総合救急災害医療センターの建設予定地は千葉市美浜区豊砂6-1ほかの敷地面積約4万2000平方m。ここに延べ床面積約2万1000平方mの病院(150床)を建設する計画。なお、新病院の完成後の34年度以降には、既存の建物(延べ面積約2万200平方m)を解体する。
公募型プロポーザルで、技術提案を求めた課題は次の通り。
▽課題1=高度救命救急センターと精神科救急医療センターの一体的整備による、身体救急、精神科救急及び身体・精神科合併救急の患者の受け入れに加え、精神保健福祉センターとの連携強化を図るための機能性を重視した配置や動線計画等の配慮が必要と考えており、設計上の考え方及び対応について提案する
▽課題2=県の救急医療における最後の砦として、将来的な医療環境の変化に対応しながら、高度・先進的な救急医療を提供すること、大規模災害時には、基幹的な災害医療拠点として種々の災害医療を提供すること、教育・研修機能を充実していくことが必要となり、設計上の配慮事項及び対応について提案する
▽課題3=県の推進する施策(施設の長寿命化、建設・維持管理コストの縮減、環境負荷低減)などへの配慮事項及びその他提案者が特に必要と考える事項について提案する。なお、コストの縮減については、設計においてどのようにコントロールしていくのかを含めて提案する
▽課題4=救命救急、精神科救急、災害医療を一体的に提供するとともに、精神保健福祉センターの行政機能を併せ持ち相互に連携する新しい形の施設であることから、適切に設計要件を掘り起こし、それを施設関係者へ提示し設計に反映させることが求められ、施設関係者と設計者などのコミュニケーションを充実させる必要もあり、具体的な実施方針を提案する