洪水吐き検討、初委託 漆沢ダム治水化で 6月2日まで参加表明(鳴瀬川事務所)

[2017/5/27 宮城版]
 国土交通省鳴瀬川総合開発工事事務所は漆沢ダム(加美町漆沢字宮ケ森)に新設するトンネル洪水吐きについて、建設に関する具体的な検討業務を初めて委託する。26日に「鳴瀬川総合開発漆沢ダム貯水池運用検討業務」の公募型プロポーザルを公告した。トンネル洪水吐きと排砂設備の基本構造や施工計画を検討してもらうため、単体企業または設計JVを対象に6月2日まで参加表明を受け付ける。7月下旬に委託候補者を特定する。

 プロポーザルの参加対象は、東北地方整備局の入札資格で「土木関係建設コンサルタント業務」に登録している企業。設計JVの場合、構成員すべてが資格を満たさなければならない。条件として▽19年以降に国や地方公共団体などが委託したダム事業における同種の排砂対策や排砂設備に関する業務を完了した実績、または類似した堆砂対策業務を完了した実績▽完了した業務の成績が65点以上であること──などが必要。

 プロポーザルの日程は、参加表明書の提出が6月2日午後4時まで。技術提案書の提出は同27日午後4時まで。いずれも原則として電子入札システムで提出する。同事務所は7月上旬に選考会を開き、参加者の提案内容を審査する。それを経て、7月下旬をめどに委託候補者を特定する。

 漆沢ダムは鳴瀬川の上流部に、県が洪水対策とかんがい用水の確保のために昭和56年に建設した。堤体高80m(堤頂長308.4m)のロックフィルダム。貯水容量は1800万立方mで、このうち洪水調整容量が950万立方m、利水容量が650万立方m(堆砂容量は200万立方m)となっている。

 25年にダム事業見直しの方針が決定したことで、県が計画していた筒砂子(つつさご)ダム建設は国の鳴瀬川総合開発事業に統合された。筒砂子ダム完成後は、漆沢ダムを治水専用にする。これにより、貯水容量のうち1600万立方mを洪水調整容量とする(堆砂容量は200万立方m)。漆沢ダムは今も県が管理しているが、整備事業は国が進める。

 現時点で漆沢ダムには、洪水調整用の放流施設がない。治水専用とすることで、下流側に水を放流するトンネル洪水吐きを新たに建設する。洪水吐きはダムサイト左岸側の山林を掘削し、延長565mを整備する予定。合わせて、ダム湖に流入してくる砂などを、効率よく下流側に排出するための排砂設備も設ける。

 今回、委託する業務では、トンネル洪水吐きと排砂設備の運用方法や基本構造をテーマとして、トンネル洪水吐き敷高と排砂設備の配置検討、治水専用化前の堆砂対策検討、施工計画検討などをまとめてもらう。履行期間は30年2月28日まで。

20170527sen

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