大規模氾濫へ減災対策 国ビジョンに基づき協議会(千葉県土整備部)
[2017/5/25 千葉版]
県土整備部河川環境課は24日、「千葉県大規模氾濫に関する減災対策協議会」の開催について公表した。国土交通省が策定した水防災意識社会構築ビジョンに基づくもので、30日に千葉市文化センター(中央区)で開く協議会の議事では、県における減災対策の取り組みについてを予定。30年3月末までに計2回の協議会を開催することとしている。
関東・東北豪雨などの大規模災害を踏まえ、国土交通省では同ビジョンを27年12月に策定。これに基づき県の管理河川を対象として、減災のための目標を共有し、一体的、計画的なハード・ソフト対策を進めるため、千葉県では国、県、市町村、河川管理者などからなる同協議会を開催する。
今回の会議で対象となる構成員は、県内37市町村の首長と気象庁銚子地方気象台長のほか、県から防災危機管理部の危機管理課長、県土整備部の河川整備課長、河川環境課長、8地域振興事務所長、10土木事務所長の全59機関の長。
オブザーバーとして、国土交通省から関東地方整備局河川部地域河川課、利根川上流河川事務所、江戸川河川事務所、水資源機構から千葉用水総合管理所が参加。なお、利根川周辺の地域については、先行して会議を開いているため、今回の会議の対象とはなっていない。
水防災意識社会再構築ビジョンは、概ね5年間で「水防災意識社会」を再構築するもので、▽住民目線のソフト対策▽洪水を安全に流すためのハード対策▽危機管理型ハード対策──の方向性が示されている。全ての直轄河川とその沿川市町村(109水系、730市町村)において、32年度目途に水防災意識社会を再構築する取り組みを行う。
各地域において、河川管理者・都道府県・市町村等からなる協議会等を新たに設置して減災のための目標を共有し、▽住民目線のソフト対策▽洪水を安全に流すためのハード対策▽危機管理型ハード対策──の対策を一体的・計画的に推進する。
このうち洪水を安全に流すためのハード対策では、流下能力が著しく不足している、あるいは漏水の実績があるなど、優先的に整備が必要な区間約1200kmについて、32年度を目途に堤防のかさ上げや浸透対策などの対策を実施。氾濫リスクが高いにも関わらず、当面の間、上下流バランスの観点から堤防整備に至らない区間など約1800kmについても、32年度を目途に粘り強い構造の堤防など危機管理型のハード対策を実施するとしている。
危険な区域からの立ち退き避難(市町村・住民等の適切な判断・行動、市町村境を越えた広域避難)▽水防体制の弱体化▽住まい方や土地利用における水害リスクの認識の不足▽「洪水を河川内で安全に流す」施策だけで対応することの限界──を対応すべき課題として対策を示している。