担い手確保にモデル工事 週休2日、女性登用を促進 29年度試行案示す(建設産業プラン協)

[2017/4/25 宮城版]
 県土木部が28年3月に策定した新・みやぎ建設産業振興プランの取り組み状況などを検証する2回目の「新・みやぎ建設産業振興プラン推進協議会」が24日、県自治会館(仙台市青葉区)で開かれた。建設業界の課題解決に向けて、3つの部会で話し合われた内容が報告された。喫緊の課題とされる担い手確保について、本年度は週休2日モデル工事や女性活躍推進モデル工事の試行案などが示された。

 新・みやぎ建設産業振興プラン推進協議会には、建設業界団体の代表者や県土木部の職員ら約30人が出席した。同協議会は、復興事業の縮小と維持管理工事への切り変わりを見据え、産学官が連携して地元建設業の振興策などを検討している。

 振興策の指針となるのが、昨年3月に策定された新・みやぎ建設産業振興プランだ。新入札制度の導入や総合評価の加点方法、災害対応に向けた官民連携など、31年度までに実施する重点施策が盛り込まれている。

 県は同プランに基づき、地元企業を優遇する総合評価方式の改正や、道路管理業務などを地元企業と複数年契約する地域維持型契約方式を実施した。

 中でも、若年層や女性の入職によって担い手を確保する施策については、活発な議論が展開されている。同協議会のうち、このテーマは下部組織のひとつ「担い手の確保・育成部会」が受け持っている。

 同部会では昨年度から、若者や女性が安心して働ける職場環境の改善として、社会保険の加入問題や週休2日制の導入などを検討してきた。議論の中でも、毎週2日の休日取得は難しく、4週8休なら取得できるのではないかとの意見も出されている。

 県は本年度、週休2日の実現に向けて、4件程度のモデル工事を試行する予定。工期設定も週休2日を前提とし、年度内に完成できる工事を選ぶ。受注者には週休2日を原則とした実施工程表を作成してもらい、現場にPR看板を掲げて意識啓発を図る。工事成績では休日の取得状況に応じて加点する。

 社会保険の加入に関し、県建設業協会(千葉嘉春会長)は2月に、社会保険加入促進要綱を制定した。本年度は下請け企業への加入指導を徹底し、未加入企業の排除を促していく。同協会の伊藤博英専務理事は、加盟社の36現場で実施した調査結果として、1年のうち300日も働いていた技術者がいたことを明かし、就労環境の改善が急務であることを訴えた。

 現場への女性登用も、担い手確保には大切な施策だ。そのためには女性専用のトイレ、更衣室の設置が不可欠。県は本年度、2件程度のモデル工事を選定し、女性技術者を登用する場合は女性用トイレ、更衣室の設置費用を工事費に計上する。週休2日と同様、工事成績でも加点対象とする。

 このほか、将来の担い手確保という点では、小学生らに建設業の魅力を伝えるということも重要だと報告された。広報連携部会では建設業のイメージアップ策を話し合い、本年度は夏休み中に小学生とその保護者を対象にした「ちびっこパトロール隊」を企画する。現場見学を兼ね、重機の体験乗車も行って建設業の役割や魅力を伝えることにした。

■新・みやぎ建設産業振興プランに基づく29年度の取り組み

●担い手の確保・育成部会の取り組み

  • 宮建協が「社会保険加入促進要綱」を制定するなど、社会保険加入をより具体的に促進
  • 週休2日を確保するモデル工事を4件程度試行。休日取得に応じて、県が工事成績で加点
  • 女性登用を推進するモデル工事を2件程度試行。女性トイレ、更衣室設置を促進

●広報連携部会の取り組み

  • 夏休み期間に小学生・保護者を対象にした「ちびっこパトロール隊」を3カ所程度で開催
  • 県教育庁が進める「みやぎ教育応援団」に各業界団体が講師役として登録し、出前講座に対応
  • 技術者らの偉業を讃え、構造物銘板とは別に工事担当者(企業)を記した銘板の設置推進

●地域課題検討部会の取り組み

  • ・専門性の高い維持管理工事受注に向け、従事者対象の講習会を7~9月ごろ3カ所程度で開催
  • 維持管理分野の重要性を経営者に理解してもらうため、講習会開催を検討
  • 産学官連携による人材育成の新たな取り組みを検討
  • 経営基盤強化に関し、建設ノウハウ生かした他分野への事業展開の方策を検討

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