盛土量8.3万立方m試算 大谷海岸 道の駅移転へ造成(気仙沼市)
[2017/4/7 宮城版]
気仙沼市は、道の駅「大谷海岸」の移転復旧に向け、移転先を盛土造成するための実施設計に着手する。3日付で実施設計業務の一般競争入札を公告しており、18日に開札する。業務の対象面積は3.9haで、盛土量に概算で8万3000立方mを見積っている。盛土造成工事は年度内の発注を目標にしている。道の駅のトイレやイベント広場は別途、年度内に新設の実施設計業務を委託する。
道の駅「大谷海岸」は、震災津波の被害を受けたことから、海沿いにあった施設を国道45号の陸側に移転復旧する計画。大谷海岸には海抜9.8mの堤防が整備されるほか、国道45号も堤防と同じ高さにかさ上げされる。このため、45号の陸側も道路と同じ高さに盛土造成する必要がある。
市は盛土造成の概略設計業務をパシフィックコンサルタンツ(東北支社・仙台市青葉区)に委託。盛土量の概算を把握するとともに、道の駅の基本構想をまとめた。新たに実施設計を委託し、開発行為や農地転用などの許可を得るとともに、防潮堤の工事を担当する県や林野庁と調整しながら、造成工事の準備を進める。
実施設計業務の内容は、盛土造成の計画準備と実施設計、設計協議、許認可手続きの技術資料作成支援、打ち合わせなど。業務場所は本吉町三島他。履行期間は30年3月30日まで。入札の参加資格は、県内に本店か支店を置き、建設コンサルタント業務(都市、地方計画部門)の登録があることなど。
市の基本構想では、国道45号の背後地のうち、西側の2haに道の駅の直産施設や駐車場、交通結節点などを置き、東側の1.9haに民間の沿道型店舗や駐車場、公共のコミュニティ広場などを置くイメージになっている。
土地利用計画を見ると、道の駅は約8600平方mで、以前にあった本吉農林水産物加工処理センター、トイレ、イベント広場、駐車場などで構成する見込み。
隣には約2400平方mの用地を確保し、以前になかった地域観光交流施設や多目的施設などを設ける構想だ。団体の観光客が食事できるスペースなどを確保することが目的。
現在は道の駅の仮設施設を運営する本吉町産業振興公社が、道の駅「大谷海岸」再建検討委員会(高橋博明委員長)を設け、道の駅に必要な施設や機能などを話し合っている。市は当初予算で、本吉農林水産物加工処理センターやトイレ、イベント広場などの実施設計費を確保している。同検討委の意向を踏まえながら、年度内に実施設計業務を委託する。着工時期は未定だが、32年度の完成が目標となっている。
大谷海岸の国道45号は、県が延長1km区間をかさ上げする。現位置からのかさ上げ高は7~8mほどを見込んでいる。最初に切り回し道路の整備を進め、防潮堤の工事と一緒に国道を上げる。
大谷海岸の防潮堤は、県の施工区間が延長700mを計画。タイプは2割5分勾配の緩傾斜堤を想定しており、地元住民の合意を得て最終決定する。築堤工事は45号のかさ上げ工と一括して8月ごろに入札(WTO)を公告し、12月の契約を予定する。工期は36カ月。防潮堤と道路の設計は一括して建設技術研究所(東北支社・仙台市青葉区)でまとめた。県の施工区間に連なる形で林野庁も防潮堤を築く。