久米設計JVが最優秀 鳴瀬桜華小の設計プロポ 「里山」デザインを評価(東松島市)
[2017/4/6 宮城版]
東松島市は、鳴瀬桜華小学校の新築に向け、基本・実施設計業務の公募型プロポーザルを行い、最優秀提案者に久米設計(東北支社・仙台市青葉区)・阿部仁史アトリエ(仙台市若林区)設計JVを選定した。同JVの提案では、建設費に25億円を試算。校舎の主構造は安全性や防火・防音性を考慮しRC造としている。業務委託の予算限度額は税込1億0294万5000円で、月内に同JVと契約する。年内の秋以降に造成着工し、31年度から新築工事を進め、33年の供用開始を目指す。
プロポは3月6日まで参加表明を受け付け、13者から申請があり、一次審査で6者に絞り、同24日まで技術提案を受け付けた。同29日にプレゼンテーションを行い、審査委員会(委員長・工藤昌明教育長)での審査を経て5日に結果を公表した。
審査で同JVは、1340点満点で1115点を獲得した。次点以下の提案者名は非公表。同JVの技術提案は、学校運営と地域開放の明確かつ効率的なゾーニング、風の影響を軽減させる工夫された土地利用と施設レイアウト、多目的スペースの効果的な配置などが高く評価された。
主な提案内容を見ると、「里山」の学校をコンセプトにしたデザインを提案しており、敷地の西南に校舎や校庭を寄せ、そこから調整池を挟んだ北東側の敷地外に、防災空地や里山広場、菜園、里山の森などを配置。敷地外は切土造成の残土処理跡を有効活用する案となっている。
構造計画では、高強度コンクリートを用いて躯体の長寿命化を図るとともに、塩害対策として膨張コンクリートを採用する。切土の造成面に建物を配置することで基礎コストを抑制。屋内運動場の屋根はトラス架構とし、屋根荷重を軽減することで耐震性を向上させる。
防災機能では、受水槽の耐震強化、緊急遮断弁の設置、太陽光発電設備(10kW~20kW程度)と蓄電設備を併せたシステムの構築、風力とソーラーによる自立発電型の屋外照明などを提案している。
設備的な省エネ手法では、高効率空調機、全熱交換器、超節水型器具、ハイブリット給湯器、トップランナー変圧器、電気式ビル用マルチエアコンなどを導入する考え。
鳴瀬桜華小は、震災被害を受けた浜市小と、小野小が統合して25年4月に誕生。現在は旧小野小の施設を利用しており、新たな学校を小野字竹沢地区他の高台に建設する。敷地面積は約1万6000平方m。造成設計業務はオオバ(東北支店・同)に委託した。造成では18万立方mを切土し、隣地の沢部に発生土を埋める予定。
市は新しい学校施設の規模として、校舎に約4800平方m、体育館に約1200平方m、校庭に約1万6000平方mを計画している。このほか、25m×6コースのプール、屋外倉庫、屋外トイレ、駐車場などを整備する。学級数は14学級となる。