放流渠やゲート整備 松岩地区 債務負担に8.1億円 気仙沼市の下水事業

[2017/3/24 宮城版]
 気仙沼市は、29年度予算の一般会計で、松岩ポンプ場災害復旧事業に限度額8億1500万円の債務負担を設定した。期間は29~30年度。同ポンプ場は雨水の排水施設で、震災津波の被害を受けた後、26年3月に復旧が完了した。29年度からは放流渠やゲート設備を再整備する。放流渠を入れ替えるにあたっては、仮設の管渠と排水ポンプ設備を設ける。これらの工事費に債務負担の事業費を充てる。工事は、市との協定に基づき日本下水道事業団(JS)が発注し、30年度の完了を目指す。

 新しい放流渠は、延長約55mのボックスタイプで、自然流下用と、ポンプによる強制排水用の2連を現場打ちで整備する。断面は、自然流下用が幅2m×高さ1.8m、強制排水用が幅1.8m×高さ1.8m。スライドゲート2門も備え付ける予定だ。

 既存の放流渠は、高さ1.5m程度の防潮堤の下に設けられている。防潮堤は県が海抜7.2m高で造り直すため、放流渠も堤防高に合った物に入れ替える必要がある。既存の施設を取り外し、防潮堤の地盤改良が終わった後、同じ場所に新しい放流渠を設置する考え。

 放流渠の入れ替えに伴い、仮設のコルゲート管とポンプ設備を設け、工事期間中に排水できるようにする。放流渠の再整備に関する設計業務は、JSを通じて日水コン(東北支所・仙台市青葉区)に委託した。

 県が整備する防潮堤は、松岩漁港片浜地区の海岸保全施設で、延長390mの半傾斜堤。築堤工事は一括して2月20日に阿部伊組・橋本組復興JVと請負契約を結んだ。工期は2月21日~31年3月25日。地盤改良工事は7月くらいに着工し、11月ごろの完了を予定する。

流入幹線を災害復旧

 同市の松岩ポンプ場は、毎秒34立方mの排水機能を備えている。ポンプ場付近には、南、北、中央の3つの松岩都市下水路(流入幹線)が集まっているが、いずれも震災被害を受けた。南管渠は復旧工事がほぼ終了した。今後は北幹線の全線と、中央幹線の一部で復旧工事に着手する。

 北幹線は、同ポンプ場付近から北側に延長約180mが整備されている。BOXタイプで幅1.2m×高さ1.2mのサイズ。地盤沈下で排水機能が悪くなっているほか、土砂も少し溜まっているため、同じサイズで入れ替える。

 ただし、埋設区間の一部が防潮堤の再整備エリアに重なっているため、復旧計画を見直す予定。周囲の土地はかさ上げされ、自然流下できる範囲も増えており、こうした点も踏まえて計画を見直すことになりそうだ。

 中央幹線は延長が約560mで、うち上流部の約380mが復旧工事中。残りは29年度以降に工事を進める。幹線はボックスタイプで幅1.8m×高さ1.8m程度の規格となる。

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