九十九里浜の侵食対策 今秋に施設計画案(千葉県土整備部)
[2017/3/16 千葉版]
千葉県土整備部河川整備課は15日、第2回の九十九里浜侵食対策検討会議(座長・近藤健雄日本大学理工学部建築海洋工学科特任教授)を千葉市中央区のホテルポートプラザちばで開いた。目標である防災上必要な「砂浜幅40m」を確保するために、県が示した基本方針について同会議が同意した。基本方針では、ヘッドランドなどの施設整備とサンドリサイクルなどの養浜を効果的に組み合わせるなどとしており、同課では今秋を目途に開く第3回会議で、施設計画案を示したい考えだ。
九十九里地域の海岸では砂浜の後退が進行していることから、侵食が著しい区域を優先して、ヘッドランドや養浜などによる侵食対策を実施してきた。未対策区間において、今後もさらなる海岸侵食の進行が想定されていることから、九十九里地域全体での侵食対策について検討を行うこととしたもの。
同浜を対象に海岸保全施設の整備に関する事項を定める侵食対策計画を策定するにあたり、学識経験者や海岸利用者、旭市、匝瑳市、横芝光町、山武市、九十九里町、大網白里市、白子町、長生村、一宮町の9沿岸市町村長などから、必要な指導や助言を得る。
検討対象範囲は、飯岡漁港~太東漁港の延長約60km。飯岡、片貝、太東の3漁港が整備されている九十九里浜を同検討会では、片貝漁港から北の範囲を北九十九里、南の範囲を南九十九里とする。目標に掲げた砂浜幅は、平均潮位で砂浜幅10m(汀線後退線~汀線の距離)に、砂浜の季節変動幅20m、地盤沈下による変動幅10mを合わせた40m。
議事では、第1回会議での主な意見を確認したうえで、侵食対策のメカニズムを理解してから、これまでの侵食対策を評価。今後の侵食対策の基本方針に合意するとともに、今後の侵食対策の進め方について議論された。
このうち今後の侵食対策の進め方では、さまざまな条件を想定してシミュレーションした結果が事務局から報告されたほか、当面の実施すべき内容として▽サンドリサイクル等のモニタリングと評価の実施▽海岸侵食の実態と対策に対する地域の共通理解及び情報交換を行う▽一松や中里海岸での浜崖発生箇所(養浜量の大小に関わらず施設整備が必要な箇所)については、緊急対策を先行して実施▽目標の達成に向けて、サンドリサイクルと施設配置のバランスのとれた最適案を策定する──ことが示された。
防災上必要な「砂浜幅40m」を確保するための基本方針は次の通り。
▽土砂の移動量を抑制するヘッドランド等の施設整備と、サンドリサイクルなどの養浜を手順も踏まえ、九十九里浜全体のバランスを考慮し、効果的に組み合わせて実施する
▽養浜については、九十九里沿岸でのサンドリサイクルを積極的に行い、将来的には地域外の土砂による「養浜」の導入も検討する
▽護岸等の施設で防災対策がされている箇所は、原則として新たな施設整備は行わず、養浜(サンドリサイクル等)による砂浜確保を実施する
▽地盤変動等の定量的な把握を継続的に行い、侵食対策の効果や影響を検証し、定期的に侵食対策計画の見直しを行う
▽対策は、海岸利用の実情と環境に配慮するとともに、緊急性を考慮して進める