上下水3事業を官民連携 プロポで委託者選定 2業務に1・1億円(県議会)
[2017/3/9 宮城版]
県議会2月定例会の予算特別委員会(分科会)が8日に開かれ、建設企業分科会で県企業局は、水道事業と工業用水道事業、下水道事業の運営を官民で行う構想について説明した。本年度2月補正予算案に、業務委託料1億1029万円を計上している。官民が連携して3つの事業を行うための調査検討や、保有するインフラの資産や財務に関する情報収集などを委託する方針。プロポーザル方式によって業務2件の委託者を決める意向だ。
県は現在、企業局が所管する広域水道事業、工業用水道事業と、土木部が所管する下水道事業を一体化し、事業に参画する民間企業と県とが連携して3事業を運営していく構想を描いている。従来の業務委託や指定管理制度とは異なり、県がインフラの所有権を持ちながら、運営権を受けた民間企業が事業を通じて収益を得る「コンセッション方式」の導入を検討している。
企業局が2月補正予算案に計上した1億1029万円の内訳は、「導入可能性調査委託業務」の委託料が4333万円。「上工下水道デューディリジェンス調査委託業務」の委託料が6696万円。
導入可能性調査委託業務では、事業運営上の県と民間企業との役割分担やリスク分担の検討、収支をシミュレーションした上でコスト削減効果を算出し、コンセッション方式の導入の可能性を検討してもらう。
上工下水道デューディリジェンス調査委託業務では、3事業で保有している管路や施設などの資産を精査し、民間企業が質の高い事業提案ができるよう資産や財務、法務に関する情報収集などを委託する。
委託期間は4月から30年2月までを予定。予算案が可決後、公募型プロポーザルを公告して委託者選定の手続きを進める意向だ。
県が運営する3事業は、人口減少などによって事業収益が下がる反面、管路の更新や施設の老朽化など、維持コストが増大している。しかし、公共性の高い事業であるため、安定的に運営する必要がある。
県は運営手法に民間企業のノウハウを取り入れようと、昨年6月からコンセッション方式の導入検討を進めてきた。2月9日には商社や水道関連企業、関係省庁の担当者らが集まり、1回目の「県上工下水一体官民連携運営検討会」が県庁内で開かれた。県は32年度から、コンセッション方式での3事業運営を開始する意向を示している。