「書類スリム化」へ点検 本県で初開催(千建協)

[2017/3/7 千葉版]
 千葉県建設業協会(千建協、畔蒜毅会長)は6日、国土交通省千葉国道事務所酒々井出張所に出向き、関東地方整備局の担当幹部らと「工事関係書類のスリム化」に向けた点検作業と意見交換に臨んだ。当日は千葉国道事務所発注の工事を受注した畔蒜工務店(株)から、実際の書類作成に当たる監理技術者らも出席し、以降の工事発注にも対応可能な書類の削減項目取りまとめの一助を担った。

 点検当日は、千建協から大林正章専務理事が出席したほか、畔蒜工務店の土木部から小林茂樹技術部長、根本篤志土木課長補佐、根本毅土木課主任らが出席。関東地方整備局から企画部技術調査課の高橋進建設専門官、杵淵新一技術検査官など4人の出迎えを受けた。

 点検作業に先立ち高橋専門官が、書類のスリム化について、関東地方整備局が推し進める“地域インフラ”サポートプラン関東2016の一環として取り組んでいることを説明。書類の簡素化を通じて地域の安全と成長を下支えする建設業を支援する目的であることに理解を求めるなどした。

 続く点検作業では、畔蒜工務店が受注、履行した「H27・H28北千葉道路松崎地区改良その3工事」について同社が用意した資料を基に協議が進められた。

 同案件での必要書類は様式だけで▽契約図書関係書類▽施工計画書▽工事打合簿▽施工体制台帳▽工事履行報告書▽段階確認書▽確認・立会願▽材料確認願▽品質管理関係▽出来形管理関係▽品質証明書▽安全管理関係▽工事記録写真──の13種類に及び、さらに契約図書関係の書類は17種類に細分化されるなど煩雑な状態となっており、受注者からは一本化が可能と思われる書類の提案や、施策が増えるものの減ったものが全くないなど「思い切って何かを止めない限り書類は減らない」の指摘も出るなどした。

 “地域インフラ”サポートプラン関東2016では、担い手の確保・育成と生産性の向上(工事の各段階での省力化)、広報活動の3つを重点項目とし、この下にある12の取り組み項目は「直ちに始めるもの」と「準備を進め順次始めるもの」の2つに分けられている。

 工事書類のスリム化は準備を進め順次始めるものとし、完成した工事を対象に各都県の建設業協会と共同して点検を実施、その結果を他の工事書類に反映させていくものと定め、これまでに意見交換会で同様の要望があった本県と東京都、埼玉県で点検作業が行われた。

 点検の着目点は▽削減書類の抽出▽統一様式の活用状況の確認▽土木工事書類作成マニュアルの順守状況の確認▽工事規模による簡素化の検討──で、今月中にも書類の削減項目案を策定する予定になっている。

 関東地方整備局は20年4月、土木工事受発注者の業務効率化へ「土木工事書類作成マニュアル案」を作成して試行運用。その後関係事務所や団体の意見を踏まえて23年度に改訂。同マニュアルには提出書類の削減を図る旨が示されており、27年4月には事前協議の徹底と二重納品の防止に向け、特記仕様書に追加事項が明示された。

 この中には工事着手時、事前協議で作成する工事書類を明確化させることや、施工中は協議に添付する書類の必要最小限化・簡潔化と情報共有システムの活用、そして検査時には、検査官は不要な書類の提出・提示を求めないこと、受注者は不要な書類を作成しないこと、工事書類の二重提出(電子と紙)はしない・させないことが盛り込まれている。

 今回の対象案件となった成田市松崎地先での畔蒜工務店の施工による「H27・H28北千葉道路松崎地区改良その3工事」は地盤改良工や補強土壁工・路体盛土工、軽量盛土工、防護柵基礎工・防護柵工などを含むもので、工期は当初、28年3月31日~11月30日だったが、2回の変更を経て29年2月28日までとなり、同2月24日に完成検査を受けた。変更に伴い、提出を要する書類も大幅に増加している。

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