園芸技術研究場を新設 自然光生かし農作物生産 設計、工事を29年度(県農水部)

[2017/3/4 宮城版]
 県農林水産部は野菜や花などを安定的に栽培する技術を確立するため、県農業・園芸総合研究所(名取市高舘川上字東金剛寺1)内に植物工場の研究拠点を整備する。自然光を有効利用して室温管理などができる園芸ハウス的な施設を想定。本年度2月補正予算案に事業費1億8640万円を計上している。29年度は調査設計業務を委託し、その後、建設工事を発注する。

 県が整備を計画しているのは、太陽の熱や光を有効に生かし、温度、湿度を制御して野菜や花などを計画的に生産する技術を研究できる施設。農業・園芸総合研究所内の農地を改良し、660平方m程度のスペースに建設する。

 安定的な食料需給に向け、近年は自然光やLEDなど人工光によって植物を栽培する技術が研究されている。競争力のある農業政策を推し進める県農林水産部では、この技術を研究・確立し、農業者にフィードバックしていく。天候に左右されない安定的な農作物の生産を目指していく。

 県は内閣府が募集した地方創生拠点整備交付金事業に応募し、このほど「宮城の冬にも負けない太陽光利用型植物工場による農業生産構造の再構築プロジェクト」が採択された。交付額は同プロジェクトの事業費の50%となる9320万円。県は残り50%の事業費を支出し、開会中の県議会2月定例会に事業費1億8640万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を提出している。

 県の計画では、農業・園芸総合研究所内にあるビニールハウス2棟を解体し、跡地約660平方mを確保する。その後、植物を栽培する園芸ハウス的な施設を建設する。現在、材質などを検討中。太陽熱や光を取り入れる一方、不要な熱線などを遮断して効果的に植物を栽培できるフィルムやガラスを採用する見込み。ハウス内の温度や湿度などを管理する電力は通常の電力を使用し、特に太陽光発電などのシステムを採用する考えはないという。

 予算案が可決後、県は事業費を29年度に繰り越し、まず施設建設に関する調査設計業務を委託する方針。秋ごろまでに業務成果を受領し、その後、既存ハウスの撤去工事、研究拠点の建設工事を発注する。29年度末までに整備を終え、30年度から技術研究に着手する。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.