南北自由通路を構想 石巻駅前の津波復興拠点 29年度は道路改良(石巻市)
[2017/2/17 宮城版]
石巻市は、JR石巻駅前の津波復興拠点整備事業で、29年度から歩行者デッキの整備や、市庁舎西側と北側の道路拡幅などを進める。デッキの完成後は、にぎわい交流広場を整備する。29年度の当初予算案には、同事業に29~30年度で9億2740万円の継続費を組んだ。将来的には駅の南北を結ぶ自由通路や、駅北側への広場なども整備する構想だ。
歩行者デッキは、延長約176m、幅員2.5~3.5mを計画。既存の市庁舎と市立病院、新しく建てるささえあいセンターと市立病院をつなぐ。エレベーターも設置する予定。市庁舎周辺の道路をまたぐため、デッキの基礎ができあがった段階で道路改良に着手する。
にぎわい交流広場は、面積が1200平方mで、駅南側の駐輪場を撤去した跡地に整備する。東屋やバーゴラ、ステージ、かまどベンチなどを設ける予定だ。歩行者デッキと道路、広場の設計業務はオオバ(東北支店・仙台市青葉区)がまとめている。
津波復興拠点エリアには、別途で予算を計上し、防災センターとささえあいセンターも建設する。防災センターはRC(一部S)造3階建て延べ1737平方mの規模で、6日に新築工事の一般競争入札を開札し、鴻池組(東北支店・仙台市青葉区)・丸本組(石巻市)JVが8億2690万円で落札した。
ささえあいセンターは、RC造3階建て延べ4257平方mの規模。1階がピロティ構造で駐車場とし、2階に市の包括ケアセンター、3階に多目的ホールを設ける。現在は建設予定地の取得交渉を進めており、29年度に新築工事を発注し、30年度の完成を目指す。新築設計は昭和設計(仙台事務所・仙台市青葉区)が担当している。
市は現在計画している拠点施設がほぼ完成した後、31年度以降に石巻駅の南北をつなぐ自由通路と、北側の駅前広場を整備したい意向だ。自由通路は線路をまたぐデッキで、市庁舎と病院をつなぐ歩行者デッキとも結びつけたい考え。駅舎自体を上げるかどうかは、今後にJR東日本と協議して決める。
北側の駅前広場は、ロータリーや送迎車両の停車スペースに利用する交通広場をイメージ。南側の駅前広場が狭いため、北側に整備することで機能分担を図り、交通の利便性を向上させる狙い。
自由通路と駅前広場の整備に向けては、29年度から2カ年ほどかけて関係機関と協議し、構想をまとめ、計画変更の手続きに入る見通し。