加美町内で6万kW風力発電 事業者が配慮書提出 31年度着工見込む(県)
[2017/1/31 宮城版]
県の環境影響評価技術審査会(会長:山本玲子尚絅学院大学名誉教授)が30日に県庁内で開かれ、加美郡加美町内で計画されている民間の風力発電事業について、計画段階環境配慮書の1回目の審議を行った。同地ではジャパン・リニューアブル・エナジー(東京都港区、中川隆久代表取締役)が発電量6万1200kWを見込む「仮称・宮城加美風力発電事業」を計画している。同社は31年度から工事に着手し、33年度中の操業開始を目指す。
ジャパン・リニューアブル・エナジーは県に対し、昨年12月中に計画段階環境配慮書を提出。これを受けて県は、30日付で同技術審査会に審議を諮問した。
同配慮書によると、同社が風力発電事業を計画しているのは、加美町漆沢地区の山林内。事業を実施する想定区域は、漆沢ダムの東側の敷地約1340ha。想定区域の一部は、県立自然公園と県自然環境保全地域にかかっている。
同社はここに、1基あたり2000~3400kWの電力を発電する陸上設置型の発電機を最大18基設置するとしている。発電機はブレード(プロペラ)を3枚備え、台座からブレードの最高点までの高さが121~150mになる見込み。また、回転するブレードの直径(ローター径)は、82~108mになる見込みだ。18基による最大出力は6万1200kWを見込む。
想定区域の近くにはやくらいゴルフ倶楽部などがあるものの、住宅地からは3km以上離れている。同社によると、送電線が比較的近くまで通っており、国道347号や町道など既存道路を利用することで、工事では取付道路や送電線の新設が短距離に抑えられるという。
今後、事業が認可されれば、同社は31年度中に工事に取り掛かり、2年程度で完成させる意向。工事資材は仙台港で陸上げし、国道4号や国道347号を経由して現地に搬送する計画だ。運転開始は33年度中を見込んでいる。環境アセスメントの手続きは、環境管理センター(東京都八王子市)が請け負っている。
同技術審査会で委員からは、薬莱山周辺への景観や環境に配慮することや、猛禽類をはじめとする動植物への環境影響について意見が述べられた。同社は想定区域内に建設する発電機の仮配置範囲を示し、そこに発電機を配置した場合に見える景観などについて、今後、同技術審査会で説明していく方針。
同技術審査会は2月21日に2回目の審議を行い、村井嘉浩知事への答申案をまとめる。同社は今後、同配慮書の承認以外に事業実施に関する方法書や環境影響評価でも審査会の承認を求め、それを経て開発許可などの認可を求めていくことになる。