広浦西側で河川堤防整備 放水路堤防はブロック張 3河川を一体的に(県仙台土木)

[2017/1/28 宮城版]
 県仙台土木事務所は広浦(名取市)に流れ着く川内沢川放水路と木曳堀について、下流側の河川堤防を整備する。川内沢川放水路は延長700m区間を対象に、右岸側の既設堤防をブロック張りしてより強固な構造に改修する。木曳堀は延長500m区間を対象に、海抜3.7mの基準で堤防を新設する。早ければことし秋以降に工事を発注する見込みだ。

 名取市閖上地区に広がる広浦には、川内沢川放水路や木曳堀、増田川、貞山運河が注いでいる。閖上地区一帯は震災津波を受けて甚大な被害を受けており、増田川や貞山運河では河川堤防などの災害復旧工事が進められている。

 名取市美田園地区には増田川と川内沢川放水路、木曳堀の3河川が並行して流れている区間がある。県は3河川が並行する区間のうち、市道に架かる寺野大橋から下流側について、河川改修を進めていく方針。L1津波に対応する海抜3.7mの基準で堤防を整備する。

 増田川の左岸堤防は、災害復旧事業の一環で整備が進められている。増田川のすぐ東隣を川内沢放水路が流れているため、2つの河川を一体的にとらえ、右岸側の河川堤防は増田川ではなく、川内沢川放水路の方を右岸堤防と見なして整備する。

 川内沢川放水路は、名取川の支流となる川内沢川の治水のために整備された人工の捷水路。仙台空港インターチェンジ付近で川内沢川を分水し、広浦まで延長5.6kmを整備した。27年6月に完成している。

 放水路の整備段階で掘削した土砂は、発生残土を有効利用する観点から、下流側に運搬して海抜3.7mの河川堤防を築いた。しかし、現段階では土盛りした程度の仮の傾斜堤となっており、水圧にも粘り強い構造にするためには改修が必要となっている。県はより強固な堤防にするため、放水路右岸側の堤防はのり面をブロック張りし、護岸を整備することにした。

 現在、川内沢川放水路堤防測量設計業務委託を1947万5000円で受注した東京建設コンサルタント(東北支社・仙台市青葉区)が、700m区間を対象にした調査測量と設計業務をまとめている。また、東北ボーリング(仙台市若林区)が地質調査を進めている。

 3河川のうち、最も海側に近い木曳堀については、下流部に河川堤防を改めて建設する。東京建設コンサルタントは木曳堀の堤防についても増田川堤防測量設計業務委託を825万円で受注しており、500m区間を対象にした調査および設計業務をまとめている。堤防は海抜3.7mの基準で整備する。

 県は放水路、木曳堀の測量設計業務とも、ことし8月末までに成果物を受ける予定。事業費確保や工事発注の手続きが順当に進めば、今秋以降の工事発注を見込んでいる。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.