九十九里浜 幅40mの砂浜目標 養浜しヘッドランドなど(千葉県土整備部)
[2017/1/24 千葉版]
千葉県土整備部河川整備課は23日、第1回の九十九里浜侵食対策検討会議(座長・近藤健雄日本大学理工学部建築海洋工学科特任教授)を千葉市中央区の市ビジネス支援センター(きぼーる13階)で開いた。同浜の現況などから目標とする砂浜幅40mを設定しており、目標幅を確保するために、実現可能な年3万m3の養浜のほか、どの程度の新たな構造物の設置が必要かなどについて、今後検討する。3月に開く予定の第2回検討会議での議論を踏まえ、今年度で今後の方向性を固めたい考えだ。
九十九里地域の海岸では砂浜の後退が進行していることから、侵食が著しい区域を優先して、ヘッドランドや養浜などによる侵食対策を実施してきた。未対策区間において、今後もさらなる海岸侵食の進行が想定されていることから、九十九里地域全体での侵食対策について検討を行うこととしたもの。
同浜を対象に海岸保全施設の整備に関する事項を定める侵食対策計画を策定するにあたり、学識経験者や海岸利用者、旭市、匝瑳市、横芝光町、山武市、九十九里町、大網白里市、白子町、長生村、一宮町の9沿岸市町村長などから、必要な指導や助言を得る。
検討対象範囲は、飯岡漁港~太東漁港の延長約60km。飯岡、片貝、太東の3漁港が整備されている九十九里浜を同検討会では、片貝漁港から北の範囲を北九十九里、南の範囲を南九十九里とする。
議事では▽九十九里浜の海岸侵食の現状▽今後の予測される九十九里浜の状況▽海岸利用者との意見交換会の報告方──について事務局から説明された後、今後の侵食対策の進め方について議論された。
侵食対策の進め方では、中長期の目標砂幅幅について、背後地に越波が生じないようために必要な幅として、平均潮位で砂浜幅10m(汀線後退線~汀線の距離)に、砂浜の季節変動幅20m、地盤沈下による変動幅10mを合わせた40mとする。
短期の目標砂浜幅は、越波防止および堤防・護岸の被災防止を図るために必要な砂浜幅として10mとする。ただし、目標砂浜幅の確保が困難な区間に関しては、堤防・護岸または消波施設(消波工、消波堤、離岸堤)によって背後地の防護を図ることとする。
今後は▽合意形成と順応的な管理▽侵食対策の整備順序の考え方▽地盤沈下状況の把握▽養浜の拡大を図る取り組み──を柱に進め方について議論する。
このうち、侵食対策の整備順序の考え方については[1]既事業の未成への対応(暫定完成へ向けた整備)(A)[2]越波・浸水等の被害(施設被害等)が発生している海岸(B)[3]越波・浸水等により利用に支障が生じている海岸(C)[4]その他の海岸(D)──の施設整備の優先度を考慮して整備を進める計画であることが説明され、施設整備の内容や優先度などもシミュレーションの1例として示された。
砂浜の確保に優位なことから、沿岸漂砂の下手側から施設整備を進めることを原則とし、海水浴場として現在利用されている箇所については現状の砂浜の維持が図れることを考慮。整備期間中に災害が発生した海岸については、適宜、対応を行うとしている。