銚子漁港 次期計画案でパブコメ 2港口化などに196億円(千葉県農林水産部)
[2017/1/6 千葉版]
千葉県農林水産部漁港課は5日、銚子漁港の次期事業計画(案)を公表した。計画期間が30~39年度となるもので、10カ年に事業費約196億円を投じて、同港の2港口化、高度衛生管理施設整備、施設新設、補修を進める方針。2月5日まで募集する同案に対する県民意見などを踏まえ、28年度末を目途に成案とする。29年度は事業計画案を国に提案し、採択されれば30年度に事業着手する運びだ。
県では銚子漁港について、県の水産業および地域経済を支える重要な漁港として位置付けている。同漁港を取り巻く環境の変化に伴い、新たな事業計画(案)を取りまとめ、国に提案していくこととした。このため、その資料となる自己調査調書を作成した。
自己評価調書によると、同事業の規模は[1]外郭施設(防波堤L910m、導流堤L385m、護岸L164m)[2]係留施設(岸壁L1773m、物揚場L90m)[3]水域施設(浚渫A68万9800平方m、V42万5800m3)[4]輸送施設(道路L9144m)[5]用地施設(護岸125m)[6]高度衛生管理型荷さばき所(1カ所)。
事業費の内訳は、[1]防波堤62億6100万円、導流堤25億9000万円、護岸2億1200万円[2]岸壁10億8500万円、物揚場6300万円[3]浚渫33億4100万円[4]道路25億900万円[5]護岸1億6900万円[6]33億7000万円。
同事業では県の負担を軽減するため、水産流通基盤整備事業により事業化を図り、整備施設の負担率により事業費の一部を国費で負担する予定。財政的負担の見通しは、県の事業費196億円に対し、国119億円(約61%)、県ほか77億円(約39%)を見込んでいる。
このうち県ほかの内訳は、県が61億円(約31%)、銚子市が12億円(約6%)、銚子市漁協が4億円(約2%)。事業着手後は、設計において最新技術の活用などを検討し、コスト縮減に取り組む。
現状をみると、銚子漁港で陸揚げする漁船の入出港では、利根川河口域にある川口外港地区の港口を航行しているが、この港外の水域は河川流・潮流に加え波浪の影響を複雑に受ける海の難所であり、航行する漁船も多いことから、難しい操船技術と漁船のエンジン出力が要求される。
黒生地区では、大型漁船等が利用可能なマイナス7.5m岸壁が整備され、岸壁背後の用地には冷凍施設や水産加工団地が整備されているが、十分な静穏が確保されておらず運用に支障をきたしている。沖合いに潮流が交錯する豊かな漁場があることから、銚子漁港では古くから整備が行われてきており、広範囲にわたって防波堤、導流堤、航路・泊地、陸揚岸壁、道路などの漁港施設が整備されている。
かつては多くの犠牲者を出し、海の難所と呼ばれる利根川河口域の複雑な海流や河川流から守るために整備した導流堤をはじめとした外郭施設があるが、老朽化が激しく倒壊によって漁港機能が停止する恐れがある。
また、海または河川からの流入土砂の堆積により航路と泊地の水深が減少しているため、安全でスムーズな漁船の航行に支障をきたしている。
銚子漁港は5年連続で水揚げ量日本一を誇り、県の水産業を支えるとともに、地域経済にも重要な位置を占めている。時代の変化に伴い漁港を取り巻く環境も変化していることから、自己評価調書では防災拠点漁港としての黒生地区の機能向上を図るとともに、地元のニーズに合った漁港の整備を以下の主要項目について行うとしている。
【2港口化に向けた整備】
黒生地区において静穏度が十分確保できておらず、常時運用するに至っていない。漁港利用者から要望のある大型まき網船の運用を図るため、現況に即した形で黒生地区の整備を進め、2港口化への対応や流通拠点漁港としての戦略的な整備に取り組み、漁獲量の向上を図る。
【銚子漁港の高度衛生管理施設整備】
近年の生鮮魚介類の安全性に対するニーズの高まりに応えるべく、環境・衛生管理型漁港づくりに向けて必要な整備を行い、衛生管理の向上を図る。輸出対策や魚価向上に向けても衛生管理対策について取り組んでいく必要がある。
整備が完了した第1市場に引き続き、他の市場についても取り組んでいく。
【老朽化対策等の実施】
銚子漁港は古くから漁港施設を整備してきており、黒生地区を含め新生・川口・川口外港地区等の広範囲にわたって、導流堤や防波堤、航路・泊地、陸揚岸壁、臨港道路などの漁港施設が整備されている。これらの各地区において時代に適合した整備の必要性を確認し、継続して取り組むべき事業を行っていくとともに、各漁港施設の老朽化対策に必要な整備を行う。