大久保PFIの優先権者が決定 スターツグループの構成員に熊谷組ら(千葉県習志野市)
[2016/12/28 千葉版]
PFIによる大久保地区の公共施設再生事業を計画する千葉県習志野市資産管理課は、19日に開かれた「第4回大久保地区公共施設再生事業提案審査委員会」(委員長・廣田直行日本大学生産工学部建築工学科教授)で選定されたスターツグループを、27日に市が正式な優先交渉権者として決めたことを受けて、その構成員や提案の一部などを明らかにした。構成員のうち施工者として熊谷組が参加するなどしており、契約に向けた交渉が始められる見通しだ。
公表された資料を見ると、優先交渉権者に決まったスターツグループは、スターツコーポレーションが代表企業となって運営(事業企画)・民間付帯事業を担当。構成員として▽スターツファシリティーサービス(運営・維持管理)▽スターツCAM(設計・工事監理・施工)▽熊谷組(施工)▽三上建築事務所(設計・工事監理)──の4者がそれぞれ参加する。
同グループにはさらに協力企業として▽青木茂建築工房(設計・工事監理)▽日比谷アメニス(工事・維持管理)▽図書館流通センター(運営)▽アシックスジャパン(運営)▽ケーアンドイー(施工)──の5者が参加を予定している。
市によると、今年3月の実施方針・要求水準書案の公表、6月の募集要項の公表を経て、9月29日~10月3日の参加表明書の受付期間中に、スターツグループのほか▽奥村組グループ(代表企業:奥村組、構成員:伊藤忠アーバンコミュニティ)▽大和リースグループ(代表企業:大和リース、構成員:アクティオ、シンコースポーツ、NPO法人NPObirth、日本管財)▽フロンティアいちごグループ(代表企業:フロンティアコンストラクション&パートナーズ、構成員:いちご、イースト、トーンアンドマター)──の計4者が参加を表明し、全てが参加資格を満たしていたが、その3グループは辞退する旨を示し、スターツグループのみが10月に提案書を提出した。
12月の提案審査委員会による審査では、提案内容に700点、提案価格に300点の計1,000点満点で総合評価。このうち提案内容は選定基準で350点未満の場合は選定しないとしていたが、同グループの提案は371・75点でこれをクリア。提案価格の66億9990万円(設定上限額は67億円、ともに税抜き)は満点の300点(提案が1者だけのため)だったことから、合計671・75点で優先交渉権者に選定したとしている。
同事業は、市の公共施設再生計画に基づくモデル事業として、京成大久保駅周辺の4万5,583平方mを対象に、既存の大久保公民館・市民会館や大久保図書館、勤労会館、中央公園を一体的に再生させるもの。事業期間は契約日から51年度までの約23カ年を想定する。
実施方針によると、今回の事業で整備するのは▽北館(図書館・公民館棟)▽北館(別棟)▽南館▽公園▽駐車場・駐輪場──。このうち北館には中央公民館とホール、中央図書館の機能を持たせ、さらに北館別棟、南館にも要求水準書で示す機能のほか、民間による提案を踏まえた収益施設なども配置する。
事業に当たっては、大久保公民館と市民会館の用地には定期借地権を設定。民間事業者が提案による付帯事業を実施するとともに、公園用地内の現駐車場付近に北館を新築。また、大久保図書館は躯体活用型建替および増築で北館別棟として、同様に勤労会館も南館としてそれぞれ活用する。
公園についても北館、南館などと同じく市が要求水準書に示した施設のほか、事業者が提案する施設を整備。現在のゲートボール場付近に2層3段の駐車場、公園内には駐輪場を設けるとともに、大久保公民館と市民会館前の駐輪場は統合・廃止する。
契約した事業者グループは、これらの基本・実施設計から施工・監理、備品調達を進めて施設を完成させ、以後その維持管理と運営などを手がけることになる。
事業に当たって市はPFI手法のうち、北館についてはBTO方式、北館別棟と南館はRO方式を採用する考え。事業期間は設計・建設を32年3月までの3カ年、維持管理・運営を32年4月~52年3月の20カ年とする。要求水準書では、北館は延べ4,800平方m以上、南館は2,600平方m以上の規模を見込む。
今後のスケジュールを見ると、29年1月に基本協定の締結を予定。2月には提案に対する審査講評を公表するとともに仮契約し、3月の市議会での承認を得て定期借地権設定とともに本契約する。特別目的会社(SPC)の新設を経て、北館別棟は32年7月ごろ、その他の施設はそれに先駆けて31年9~11月ごろの供用(維持管理・運営)を目指す。