WLB認定企業を評価 働き方改革プロジェクト推進 7回復興加速化会議(国交省ら)
[2016/12/20 宮城版]
国土交通省や、宮城、福島、岩手の3県、仙台市らは17日、東北地方整備局で第7回復興加速化会議を開催した。建設業界からは東北建設業協会連合会の千葉嘉春会長らが出席。復興の加速化に向けた課題や今後の取り組みを確認した。石井啓一国交相は、復興係数による間接工事費の補正を29年度も継続することを表明。東北地方整備局の新たな取り組みとして、「東北復興働き方改革プロジェクト」を発案し、ワークライフバランス(WLB)の認定企業を段階的選抜方式の入札で評価することなどを打ち出した。
働き方改革プロジェクトは[1]WLB改善のサポート[2]提出書類等の簡素化・簡略化[3]ICT活用工事の推進・普及[4]教育・訓練の充実、魅力発信──の4つを主に進める。
WLBの改善に向けては、女性技術者や若手技術者をサポートするため、本年度の入札からWLB評価型段階選抜方式を導入するとともに、女性技術者・若手技術者の配置促進工事を29年度までに50件程度試行することを目標にしている。
WLB評価型段階選抜方式は、厚生労働省の女性活躍推進法に基づく「えるぼし」や、次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん」、若者雇用促進法に基づく「ユースエール」などの認定企業を一次審査で評価する。
段階的選抜方式の入札は、WTOなどの大型工事案件で採用している。一次審査では、企業の能力等や技術者の能力等などに最大30点を配点し、選抜した5~10社程度に入札参加を認める。WLB認定企業には、企業の能力等として1点を配点することなる見通し。
提出書類等の簡素化・簡略化では、簡易確認方式と簡易積算方式を新たに導入する。簡易確認方式は、入札参加時に求めていた資料を従来の50枚程度から、簡易技術資料の1枚だけにする。この1枚を基に評価値を出して順位を決め、上位3者から従来通りの細かな資料を求めることにする。この結果、評価値が上位3者に届かない企業は余計な書類作成の手間が省けるほか、発注者側の負担も減らせる。
簡易積算方式は、排水工を対象に、積上げ型の積算から、率を乗じる積算へと変更することで、入札参加者と発注者の負担を約4割削減する。当初の積算は「排水工を除く直工×5%」で計上する。
ICT活用工事は、本年度に東北整備局が直轄工事38件で発注・契約に至っており、これを29年度に倍増させる目標を掲げた。ちなみに東北でのICT活用工事の土工量は約245万立方mで、全国の約2割を占めている。地方自治体にも活用を促す考え。
教育・訓練の充実では、29年度から官民共同技術講習会を開催する。講習メニューは、アスファルト基礎技術やUAV操作基礎技術などを予定している。
石井国交相は、復興加速化会議で被災3県や業界団体などから現状の取り組み状況を聞いた後、「課題を抱えつつも復興に向け着実に進んでいると実感した」と述べ、働き方改革プロジェクトを進めることで「復興を加速化していきたい」と決意表明した。
このほか、会議の出席者では、奥山恵美子仙台市長が「働き方改革に向けての女性技術者・若い世代の登用は、業界団体と連携しながら力を入れていきたい」、東北建協連の千葉会長が「連合会としてICT施工に地域建設業が参画できる体制づくりに努める」と話した。