迫大東の雨水処理見直し 既設排水路網を検証 調査・設計委託へ(登米市)
[2016/12/9 宮城版]
登米市は迫町大東地区を含む下水道の迫処理区について、現行計画を見直した上で新たな雨水排水路の整備を検討する。既設の大網排水路を生かし、大雨のたびに冠水被害が起こりやすい大東地区の内水を大網排水路へと集める考え。効果的な排水路網の整備に向け、本年度から排水路網の検討や基本設計、現況調査などを進める。
県の登米合同庁舎がある迫町佐沼大東地区は過去に水田地帯だったこともあり、若干の窪地になっていて水はけが悪い。大雨が降ると雨水排水路の排水能力が下がり、道路の冠水や住宅の浸水被害が起きやすい。
市はこの対策として、当初は登米合同庁舎南側にある迫大東公園(迫町佐沼字新大東54)内に、貯水量約5900立方mの雨水調整池を整備する計画を進めていた。公園の地下に貯留槽を造り、雨水をいったん引き込んでから迫川に放流する考えだった。すでに実施設計業務を委託していたが、地盤が弱いため、建設した場合、大きな費用負担を強いられることが判明した。
市は雨水調整池の整備計画をいったん保留し、別の雨水対策を検討することにした。迫処理区には迫町大網地区から東側の迫川に向かって、大網排水路が横断している。既設の排水路網を検証し、内水を効率よく大網排水路に集めることを考える。
大網排水路は大網地区から東進し、佐沼環境浄化センター(迫町佐沼大網下47─2)方面に通じている排水路。雨水は迫川の手前の大網排水機場に集まり、そこでくみ上げて迫川に放流している。迫処理区の排水路網は現行でも大網排水路に集まるようになっているが、経路の一部で流れが詰まりやすいなど、効果的に流れていない。冠水しやすい大東地区には、上流部からの雨水が入り込むようなルートになっている。これを分水し、大東地区に雨水を引き込まず、ストレートに大網排水路に流れていくようにする。
市は開会中の市議会12月会議に、大東地区の雨水対策事業費を盛り込んだ下水道事業特別会計の補正予算案を提出している。雨水排水路の基本設計業務委託料に28、29年度分として2100万円、排水路の現況調査業務委託料に28、29年度分として1200万円を確保する考え。
雨水排水路の基本設計業務では、迫処理区192haのうち、大東、大網、南佐沼地区など96haを対象に排水路網の比較検討やルート検討を委託する。また、排水路の現況調査では大東地区より上流部の中江、小金丁地区など40haを対象に、大網排水路に流入している経路の現況調査や分水方法の検討などを委託する方針だ。
迫町大東、大網地区の内水対策は県も進めており、同地区を流れる長沼川の流下能力を改善する考え。東西にわたる放水路1400mを整備し、長沼川の流れを放水路に分水して地区内の内水を素早く迫川に放流する考え。