196億円投じ、銚子漁港を2港口化 市場整備や老朽化対策も(千葉県農林水産部)
[2016/11/17 千葉版]
千葉県水産公共事業評価審議会(会長・山下東子大東文化大学教授)が16日、千葉市中央区の県教育会館で開かれた。事前評価で銚子地区の水産流通基盤整備事業を審議し、「事業実施が妥当である」とした。銚子漁港で、2港口化や高度衛生管理施設の整備、老朽化対策を推進し、防災拠点漁港として機能を向上させる計画。全体事業費は約196億円を想定している。
同審議会は、県農林水産部所管の公共工事(全体事業費40億円以上)に関する事業評価の実施に当たり、客観性の確保や多様な意見を反映させるため、県が作成した評価資料を審議するもの。今回の対象案件は水産基盤整備事業で、事前評価が銚子地区の水産流通基盤整備事業、再評価が内房地区の水産環境整備事業となった。
銚子地区の水産流通基盤整備事業では、銚子地区特定漁港漁場整備事業計画(14~28年度)の収束に伴い、30~39年度の次期計画を策定。主に[1]2港口化に向けた整備[2]銚子漁港の高度衛生管理施設整備[3]老朽化対策等の実施──を進めていく方針が盛り込まれた。
「2港口化に向けた整備」では、黒生地区の静緩度を確保するとともに、漁港利用者から要望が上がっている大型まき網船の運用を図るため、流通拠点漁港として戦略的な整備に取り組む。
具体的には、黒生地区で、マイナス7.5m岸壁の改良(30~36年度、8億2000万円)、沖南防波堤の改良と消波の設置(30~35年度、64億3000万円)、仮設走路撤去を含む泊地浚渫(32~39年度、14億2000万円)、川口外港地区で泊地浚渫(35~39年度、老朽化対策を含め19億2000万円)を計画している。
また「銚子漁港の高度衛生管理施設整備」では、川口外港地区の第3卸売市場で高度衛生管理型の荷捌き所を整備する計画。市場の建て替えや改修(30~34年度、33億7000万円)、高度衛生管理岸壁の整備(33~34年度、7000万円)を推進していく。
「老朽化対策等の実施」では、利根川からの流入土砂により水深が減少していることから、導流堤を新設・補修するほか、老朽化が進む係留施設や道路の整備を進めていく。
具体的な事業は、川口・新生地区で導流堤の改良(30~39年度、25億9000万円)、川口外港地区で特目岸壁の改修(35~39年度、5000万円)、黒生地区で道路I・Hの整備(30~31年度、2000万円)、新生地区の道路Aの整備(30~39年度、18億円)、地区全体の道路補修(36~39年度、7億円)、その他補修(30~39年度、4億1000万円)など。
委員からは「今回の計画は黒生地区の静緩度を保つことが最も重要な視点」「荷捌き所の整備では動線に十分配慮してほしい」などの意見が出され、審議会では「事業実施が妥当である」と結論付けた。
一方、内房地区の水産環境整備事業は13年度から実施しているもので、▽萩生▽内房▽館山▽勝山▽富山──の5工区で漁礁整備を進め、富山工区以外は完成済み。総事業費は12億3000万円。
富山工区については今年度、深浅測量や流況調査を進めており、30年度の完成を目指す。審議会では「継続が妥当である」となった。
県農林水産政策課によると、銚子地区の水産流通基盤整備事業については、年明けにパブリックコメントを実施する。その後、同審議会で出された意見などをとりまとめ、知事に答申する予定だ。