12カ年で改修費140億円 河南二期の農業水利施設 排水機場新設や耐震化(東北農政局)
東北農政局は、本年度から39年度までの12カ年をかけ、石巻市など2市2町で河南二期地区の国営農業水利事業を進める。総事業費は140億円を試算している。主な事業内容は、排水機場の新設2カ所や改修、耐震化対策と、揚水機場4カ所、用水路4路線、排水路3路線、水管理システムの改修など。受益面積は、同市と東松島市、涌谷町、美里町の計4707ha。
排水機場は、既存の4カ所を統合し、新たに中区排水機場と広渕沼排水機場を新設する。中区は排水量が毎秒14.50立方mで、口径800~1500mmの横軸斜流ポンプ5台を据え付ける。広渕沼排水機場は、排水量が毎秒6.2立方mで、横軸軸流ポンプ3台と立軸斜流ポンプ1台を据え付ける。口径は500~1000mm。
中区は本年度、新設の基本設計を委託するため、公募型プロポーザルの手続きを進めており、14日まで技術提案書を受け付け、12月6日までに委託者を特定する。排水路は、延長2.1kmの筍堀排水路を全面改修するとともに、延長2.5kmの赤井堀排水路を部分改修する。用水路は、4路線で延長が計17.4km。揚水機場はポンプやモーターなどの電気設備を更新するとともに、建屋を補修する。笈入揚水機場(排水機)については、吸水槽や上屋、基礎を耐震化する。
河南二期地区は、旧北上川の右岸側に広がる水田地帯で、経年的な施設の劣化により農業用水の安定供給に支障をきたしている。近年の降雨量の変化に伴う排水量の増加により、地区内で湛水被害もでている。
このため、同事業で施設の新設や改修、耐震化などを進め、農業用水の安定供給と維持管理費の削減、湛水被害の軽減を図る。
事業建設所を開所
東北農政局は14日、石巻市内で河南二期農業水利事業建設所の開所式と看板掲示式を開いた。同建設所は、8月1日に石巻合同庁舎3階に開所した。18日に河南二期地区の事業計画が確定することから、松尾元東北農政局長や関係市町の担当者らが事務所に看板を掲げて開所を祝った。
開所式で松尾局長は、同事業により「揚排水機能を強化し、湛水被害の抑制と維持管理費の軽減、農業用水の安定供給の確保を図る」と抱負を述べた。