防災学習施設を整備 東松島の旧野蒜小活用 来年4月に改修着工(J・M・S)

[2016/11/5 宮城版]
 人材派遣事業などを展開するJ・M・S(東京都新宿区、江口紀代子代表取締役)は、東松島市の旧野蒜小学校(野蒜字亀岡)を活用し、宿泊機能や物産販売機能を備えた体験型の防災学習施設を整備する。市が行う用途地域の変更が済み次第、29年4月に校舎の改修工事に着手し、30年4月のオープンを目指す。施工者は数社から見積りを取り、年内に決める。

 計画では、津波被害を受けた既存の校舎を改修し、1階に物産店や食堂、2階に防災学習スペース、3階に宿泊所を設ける。校庭には駐車場を整備する。施設名は「希望」や「防災」を組み合わせ『きぼっちゃ』とするようだ。

 メーンとなる防災学習スペースは、バーチャル映像など最新のテクノロジーを活用し、楽しみながら防災を学べるようにする。専用の眼鏡をかけることで潜水艦や飛行機、パラシュートなどを疑似体験できるエンターテイメントの要素も取り入れる予定。具体的な学習方法はこれから決めるが、さまざまなコンテンツを用意している。

 宿泊所は小学生をターゲットにしており、主に校外学習で活用することを想定。基本的には50人、最大で60人が泊まれるようにする。1階は道の駅のようなイメージで、市内や県内の物産品を販売する。食堂は宿泊者にも利用してもらう。

 旧野蒜小の校舎は、RC造3階建て延べ約2500平方mの規模。震災津波で1階まで浸水した。体育館はすでに撤去済み。敷地面積は9310平方m。敷地内には郵便局や消防署の仮設事務所が建っている。土地は現在、第1種低層住居専用地域になっており、市が年内をめどに準工業地域に用途変更する予定。その後、J・M・Sが市と借地契約を結ぶことになる。

 J・M・Sは、自衛隊のOBが中心となって17年10月に立ち上げた株式会社。これまでに福島県葛尾村での除染作業や、同県相馬市での災害廃棄物分別作業、長野県軽井沢町でのメガソーラー建設工事などに人材を投入している。

 学校の利活用にあたっては、東松島市が昨年度、旧浜市小(浜市字新田)とともに民間の事業者を募集した。J・M・Sは旧野蒜小の優先交渉権を獲得。施設整備の事業費は、県の沿岸部交流人口拡大モデル施設整備事業の補助金を活用する。

 旧浜市小の利活用は、V・プランニング(東京都千代田区、阿部基教代表取締役社長)が優先交渉権を獲得。同社は事業主体となる東松島ファームを立ち上げており、同校にLED植物工場やコミュニティレストランなどを整備する。

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