市庁舎の増改築検討へ 耐震化で約40億円試算 29年度に基本構想(多賀城市)
[2016/8/23 宮城版]
多賀城市は19日、市議会全員協議会で市庁舎の耐震化に着手する方針を明らかにした。素案では築45年の東庁舎を現地改築し、新たに北庁舎を増築する。事業費は最大で40億円を見積もる。今後、庁内検討を本格化させ、29~30年度に基本構想・基本計画、基本設計を進めていく。
現庁舎は、東庁舎と築28年の西庁舎の2棟。市は、国の補助活用と手狭な庁内空間の解消、プレハブの仮設庁舎を作らないことを前提に素案を作成。東庁舎の耐震化対策を柱として現地に改築し、西庁舎は改修、東庁舎北側に北庁舎を増築する。
規模は、東庁舎が現行でRC造地下1階地上3階建て延べ2569平方m。改築後は延床面積を約4000平方mにする。北庁舎はRC造地上3階建て延べ約2200平方mを想定し東庁舎と連絡通路で結ぶ。総事業費は約40億円を試算し、東庁舎の改築は21億円を見込んだ。
国の補助は、熊本地震発生後に補助率が拡充され、30年度までの基本設計着手が条件になっている。このため市は29~30年度に基本構想・基本計画、基本設計に着手。概略工程は35年度までに西庁舎の改修、北庁舎の増築、東庁舎の解体・改築の順に着工する。
耐震化の課題には、東庁舎の耐力度不足に加え、市が目指す住民手続きのワンフロアサービス化や会議室の不足、システム化によるパソコン、職員増などに合わせた環境整備が挙げられている。管財課は「素案は検討のきっかけのたたき台。防災機能やコスト削減など検討はこれからだ」と話す。
現庁舎の元施工者は、東庁舎、西庁舎ともに大成建設(本社・東京都新宿区)。
県内自治体で庁舎の耐震化を実施していないのは多賀城市のほか、気仙沼市と柴田郡村田町のみ。多賀城市では19年度に耐力度調査を実施し、課題の整理を進めていたが東日本大震災の発生で一時中断していた。災害公営住宅が28年度内完成の見通しが立ったため本格的な検討を進めていく。