大谷海岸の800m区間 国道と一体化で築堤 29年度から道路切回し(県気仙沼土木)
[2016/8/4 宮城版]
県気仙沼土木事務所は、気仙沼市本吉町大谷地区で大谷海岸の防潮堤を整備するに当たり、当初の位置より陸側にセットバックして国道45号と一体化する方針を示した。防潮堤の計画延長は約800m。堤防高は海抜9.8mを確保するため、45号を現位置で6mほどかさ上げすることになる。用地買収と並行して29年度の第1四半期までに設計をまとめ、第4四半期から国道の切回し工事を進める予定。防潮堤の工事は30年度の第4四半期に着手し、32年度の完成を見込む。
現時点の計画を見ると、防潮堤のタイプは3割勾配の傾斜堤と、1割5分勾配のCSG工法による堤防の組み合わせ。傾斜堤部の底幅は15m程度になるもよう。ただし、景観の問題などを考慮する必要があるため、今後に大谷里海(まち)づくり検討委員会が主催する設計打ち合わせ会議で有識者を混ぜて検討し、最終的なタイプを決める。
ちなみにSCG工法は、現場近くで比較的容易に入手できる砂れきなどに、セメントと水を混ぜて作る材料を築堤に利用する。
45号は、防潮堤と兼用するため、同事務所が延長約850m区間をかさ上げすることになる。切回し道路は、延長約1100mを予定するが、今後に設計を固める。防潮堤は東側の端で林野庁が設ける防潮堤と擦り付ける。同庁の防潮堤は30年度ごろに着工する見通し。
防潮堤のセットバックは、地元からの要望を受けたもの。地元では大谷海岸での海水浴を望んでいる。セットバックにより約2.8haの砂浜が確保できると見込んでいる。
防潮堤背後に道の駅(気仙沼市)
気仙沼市は、大谷海岸の防潮堤背後を国道と同じ高さに盛土し、道の駅「大谷海岸」を再整備するとともに、地域観光交流施設や多目的広場などを設ける意向だ。背後地ではこのほか、民間事業者による商業施設の立地誘導などが予定されている。
市が示した資料によると、大谷海岸の堤防背後は、西エリアの2haに道の駅の産直施設や駐車場、交通結節点など、東エリアの1.9haに民間の沿道型店舗や駐車場、公共のコミュニティ広場などを置くイメージ。
土地利用計画では、道の駅が約8600平方mの広さを想定。以前は海岸沿いにあり、本吉農林水産直売センターや加工センター、トイレ、イベント広場、駐車場などで構成されていたが、津波被害を受けた。
地域観光交流施設は、用地に約2400平方mを充てており、団体の観光客が食事できるスペースなどを確保する。多目的広は面積が約4000平方mで、平時のイベント利用や、災害時の応急対応スペースとしての利用を見込む。これらは従前にはなかった施設で、新しい道の駅に隣接させる考え。
道の駅の整備に向けては、本年度から基本設計のとりまとめに着手し、29年度で詳細設計を固め、30年度から工事を進める予定になっている。