来年4月にピア棟着工 仙台空港 民営化で施設充実へ(仙台国際空港)
[2016/7/2 宮城版]
民間企業の仙台国際空港(名取市、岩井卓也取締役社長)による仙台空港の運営が1日、スタートした。 国管理空港の民間企業による経営は全国で初。同社は仙台空港を東北のグローバル・ゲートウェイとして生まれ変わらせ、旅客・貨物数を増やすために、今秋から旅客ターミナルビルの改修に着手する。来年4月にはピア棟の新設工事にも着手し、来年度いっぱいかけて完成させる考え。ほかにも立体駐車場の整備などを構想しており、今後30年間の設備投資総額が341億8000万円になると試算している。
設備投資は最初の5年間が集中期間となる。まずは旅客ターミナルビルの改修として、1階に到着旅客のためのアライバルカフェを設けるほか、総合案内の機能を増強して情報発信力を高める。この工事は今秋から取り掛かる。
2階部分は店舗数を現状の約4倍まで拡充する計画。このうち、搭乗・出国待合所(エアサイド)に入る手前のランドサイドは、30年1月から7月までかけてリニューアルしていく見通し。どのような店舗を入れるかはこれから具体化する。
ピア棟は、便数・旅客数の増加に対応するため、旅客ターミナルビルの西側に整備する。ターミナルと搭乗口を結ぶ屋根付きの歩行デッキで、延長が200m以上を見込む。設計は日建設計が担当している。ピア棟の整備でゲートは3カ所を増設し、駐機スポットも14カ所から19カ所に増やす。
6年目以降は、収益の状況などを踏まえた上で、ターミナルビル2階のエアサイドや3階部分のリニューアル、立体駐車場の新設、既存駐車場の拡張などを進めることになりそうだ。
同社は、東京急行電鉄、前田建設工業、豊田通商、東急不動産、東急エージェンシー、東急建設、東急コミュニティーが出資して設立した。この7社のグループは、国土交通省の公募型プロポーザルで仙台空港の運営権者に選ばれた。民営化事業の方式は独立採算型PFIとなる。運営期間は30年間で、最大60年まで延長できる。
これまでは国際空港貨物の取り扱い、商業施設の運営、駐車場の管理・運営、着陸料の設定・収受と滑走路の管理などが、さまざまセクターによって独自に運営されていたが、1日からは仙台国際空港が一体的に経営する。
同社が掲げる30年後の目標値は、旅客数が国内435万人、国際115万人で、計550万人。貨物の取り扱い量は、現在の6000tから2.5万tに伸ばす。
岩井社長は今回の民営化について、交流人口の拡大、官から民への権利移管、被災地復興といった国全体の大きな政策課題に直結する事象と捉えており、「小さい会社なりに一生懸命取り組む」と決意を述べた。