内湾に新商業エリア 来春、着工目指す マーケットや飲食店(気仙沼地域開発)
[2016/6/7 宮城版]
気仙沼地域開発(菅原昭彦代表取締役社長)は、内湾地区の土地区画整理事業地内に、新しい商業エリアの内湾スロー村(仮称)を形成する。施設は、防潮堤と一体化したウォーターフロント施設、スローフードマーケット、スローストリートと屋台ストリートの店舗などを設ける。29年4月に建築着工し、30年3月の完成を目指す。5、6日には気仙沼魚市場で、出店募集の説明会を開き、施設内容などを紹介した。2日間で出店や施設利用などに興味を持つ計約120人が参加した。
同社が目指すのは、スローフード都市の実現。地域固有の文化や風土を生かす都市として、気仙沼の食を楽しめるレストランの誘致や、歩行者優先道路の整備、木質バイオマスの積極活用、リタイア後の就漁者の受け入れ、まち全体の震災ミュージアム化などに取り組む。
ウォーターフロント施設は、大島汽船のフェリーが発着している南町海岸に建て、海を見ながら食事や買い物ができる拠点空間とする。建物は木造2階(一部3階)建てを構想。1階が防潮堤の背面、2階がデッキテラスとともに防潮堤の上に乗る形となる。防潮堤の前面は人々がくつろげる傾斜緑地とし、湾沿いの海岸公園や桟橋に下りて行けるようにする。
現時点では、1階を駐車スペースとし、2階に飲食店や物産店の誘致を構想。2階の店舗区画は140平方m、120平方m、80平方m、60平方mの4区画を用意しているが、流動的だ。1階に80平方m、3階に120平方mの区画も設けている。
ウォーターフロントから道路を挟んだ西側には、約794平方mのスローフードマーケット、7区画のスローストリート店舗、12区画の屋台ストリート店舗を配置する。ストリートの店舗は1区画あたり約40~70平方m、屋台は同17平方m。基本的には木造で、飲食店や物販店、雑貨店、エステサロンなどを誘致する。
同社は、市域の観光・商業の活性化を図るため、8年に気仙沼商工会議所が中心となって設立した株式会社。震災後は物産販売などを手掛けてきた。同会議所の会頭を務める菅原社長は「100年先の気仙沼をにらみながら、恥じないまちづくりをやりたい」と意気込みを述べた。
なお、ウォーターフロント施設の隣には、同じく湾に面する形で、気仙沼市がRC造3階建ての内湾公共施設を建てる予定。こちらには観光案内所やフェリーの発券所、軽運動室、研修室などを設ける。