復興公園の実施設計 6月までに指名競争 担当個所を具体化(県土木部)

[2016/4/23 宮城版]
 石巻市南浜地区に国、県、石巻市が共同で整備する「石巻南浜津波復興祈念公園」について、県土木部は本年度、実施設計をまとめて工事着手への道筋を整える。第1四半期に「南浜復興祈念公園実施設計業務委託」を指名競争入札で委託する方針。委託者には国、石巻市と調整を図ってもらい、具体的な整備個所を明確にする。早ければ本年度末から工事に取り掛かる。

 石巻南浜津波復興祈念公園は、日和山の南側に位置する石巻市南浜地区の敷地38.8haを対象に、鎮魂と震災の教訓を伝承する場所として整備する。3月に開かれた有識者委員会で、基本計画に基づいた空間デザインが示された。

 整備する南浜地区はかつて、「善海田」と呼ばれる湿地帯だった。その面影を伝える池と湿地を、敷地中央にアーチ状に配置する。池の北側には、震災の犠牲者を追悼する「祈りの空間」を造る。ビジターセンターや休憩所を備えた中核的施設、3000人規模の集会ができる広場を整備する。

 敷地の西側には、野球やサッカーができる多目的広場を3カ所に造り、県道門脇流留線に面する敷地南側には防災林としてクロマツなどを植樹する。

 現段階ではまだ、国、県、石巻市の役割分担は明確にされていない。大まかな役割分担として、追悼や鎮魂、伝承の場となる敷地南東側の約22.2haを、国と県が連携して整備する。石巻市は多目的広場などが含まれる敷地北西側の16.6haを中心に、県民の多様なニーズを受け止める空間として整備する方針だ。

 3者ともこれまで、主だったエリアの基本設計を取りまとめてきた。基本設計は国、県、石巻市分ともドーコン(東北支店・仙台市青葉区)が担当。本年度からは実施設計の段階に進む。このうち県は、第1四半期に実施設計業務を委託する予定で、現在、入札の準備を進めている。業務種別は「建設コンサルタント」で、履行期間は12カ月。概算の業務規模は1000万円以上を見込んでいる。

 委託者には基本設計に基づいた実施設計の取りまとめと、3者間での協議調整、役割分担の検討などを任せる。県の担当分では、敷地東側に整備する海抜10mの築山築造や、南側に植林する防災林整備などがほぼ決まっている。また、北東側に確保する駐車場の整備も担当する見込み。委託者にはより詳細な担当区域の調整を行ってもらう。

 県はまた、第1四半期に「南浜復興祈念公園用地測量業務委託」も指名競争入札で委託する方針。防災集団移転跡地の取得に向け、境界確定などを依頼する。

 同公園整備の全体スケジュールでは、国、県、石巻市とも早ければ本年度末から造成工事に着手する考え。震災発生から10年となる33年3月に間に合うよう、32年度中の完成を目指して整備を進める。

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